『ティータイム 石井 遊佳』は読むの大変だけど面白い正統派純文学

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正統派純文学

テーマが監獄&脱走、ストーリーが非現実あれこれ、キャラクターが巻き込まれた人最初の話、表題作である『ティータイム』で何度挫折しそうになったことか。3分の2くらいから面白くなるあたり、正統派純文学じゃね?

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10年に1度の危機

おそらく僕が最後に挫折した本は、10年以上前の『資本論 K. マルクス』だ。岩波文庫で全9冊中、1冊目を読み終わったところで挫折。不安だったので最初の1冊しか買ってなかった(当然中古)ので傷は浅かった。あれ以来、10年に1度の危機だった。

多分だけど他人よりは我慢強い方だ。面白くないなら面白くないなりに、勝手に何かを探して読む自信はある。しかも芥川賞受賞作『百年泥 石井 遊佳』は読んだことがあったからハズレではない確信があった。それにしたってキツかったよ。

『百年泥 石井 遊佳』を読んで非現実って良いよねって思った
『百年泥 石井 遊佳』のストーリーは大洪水後片付けでテーマは思い出色々。ただの洪水の話じゃんとか思ってたけど、5歳くらいの子供登場で、ん? となった。非現実や不条理を持ち込むことで言いたいことをより明確に、強く主張できるんじゃね?

『ティータイム』が本当に面白くなって手が止まらないよ状態を迎えるのは5/6くらい過ぎたところだ。凄くね? なんでこんなにキツいのか。それは僕の大好きなコラム『若桜木虔の作家デビューの裏技、教えます!』に書いてある。

公募スクール講座「落選理由を探る」で謎が解けた気になった
公募ガイドのコラム「若桜木虔の作家デビューの裏技、教えます!」が面白くて勉強になる、公募スクール「落選理由を探る」をお願いした結果目からウロコって話です。若桜木先生のコラムもスクールもリンク切れなので、そのうち記事自体なくなるかもな予感。

少なくとも「出し惜しみ」、「時系列メチャクチャ」、「登場人物が優柔不断」に引っかかっている。一応僕はコラムを全部読んでダメポイントを書きだしているが、見落としあるかも。いずれによせ地雷を踏みまくっている。

まあ芥川賞作家と若桜木先生どっちを信じるのよ?って問題はこのさい置いておこう。実際僕自身も気になったのですよ。「どうしてこんな優柔不断人間が、この仕事を即決したの?」って気になってしょうがなかった。もちろん後で理由は出てくるんだけどね。

特に問題だと思うのが「優柔不断」だ。しかも主人公がだよ? 話は一向に進まず、挫折の2文字が何度も頭をよぎる。つい最近あれこれ妄想して、小説は山登りみたいだと書いた。しかしこの話の山頂におにぎりはあるのか? そもそも苦労して登る価値あるのか? 不安でしょうがなかった。

小説がこの先生きのこるには①漫画、動画に対するメリットデメリット
小説がこの先生きのこるには①漫画、動画に対するメリットデメリット、ってことで今日も妄想が捗る。自力でいくつも書いてダメだったのでAI小説に挑戦予定。せっかく新しく始めるならここらでひとつ今まで考えたあれこれを整理したいと思います。

結論として、価値は十二分にあった。あったんだけどいくらなんでも面白くなるの遅くね? 挫折した人も多いんじゃね? なんて考えてしまうのですよ。だったら動画見るや、早送りできるし、気に入らなきゃ変わりはいくらでもあるし、ってのが現代の風潮だよね。

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宣言してくれてるんじゃね?

短編集として考えるとさらに凄い。『ティータイム』以外の3作品は最初から面白いのだ。主人公は基本的に巻き込まれタイプであって、自分からあんまり動かない。それでも他3作品ではわりと最初から巻き込まれる、あるいは巻き込まれた後だ。

さらにいうと『ティータイム』が現実的な話なのに対して、他はインド、非現実、非現実だ。インドはだいたい非現実とイコールだから、他3作品は全て非現実ってことだよね。当然、巻き込まれ話も怪しくて興味を掻き立てる。

つまり『ティータイム』の最初2/3を超えたら、ずっと面白いと思ってもらってOK。もちろん好き好きはあるだろうけどね。……どうしてこんな並びにしたの?

ただ単に時系列で順番を決めたのではないっぽい。全4作品の中で『ティータイム』は2番目に書かれている。もちろんアイウエオ順でもない。意図的に最初に持ってきたわけだ。わざとハードル上げたとしか思えない。

その昔、似たような意図的宣言(だと思っている)を見たことがある。『掟上今日子の備忘録 西尾 維新』は、1話目から超有名ミステリー小説のトリックをそのまま持ってきている。これってつまり、本格ミステリーじゃないよって宣言だよね。あれを思い出した。

『掟上今日子の備忘録 西尾 維新』は正統派今どきミステリー小説
『掟上今日子の備忘録 西尾 維新』はストーリーが忘却探偵でテーマが特になし。凄い所はともかく印象に残る、ってこと。ちょっと見ただけでずっと印象に残る、とてもキャッチーな小説だ。じゃあミステリー要素は?っていうと結構そこはどうでも良いのでは。

つまり『ティータイム』を最初に持ってくることによって、この本は純文学ですよ、結構厳しい登山コースだから引き返すなら今ですよ、って宣言してくれてるんじゃね? ハイキング気分でやってきた連中を追い返す優しい警告だ。

個人的には『ティータイム』の最初2/3で十分空腹感が高まった僕は、美味しいおにぎりを食べることができました。あの苦労が無かったらここまで楽しめなかったのかもしれない。そんなこともない気がするけど。結局並び順の謎はわからないのですよ。

キツい山道を登りながら、僕は考えました。ひょっとして純文学こそ、Audibleと相性がいいじゃね? 今どき後々の喜びを夢見て文章を読み進めるなんて、よっぽどの文学好きか変態しかやらない。けどAudibleだったらイイ感じで聞き流せる。

小説がこの先生きのこるには②今後はAI進化が小説に追い風と見た!
現状、小説は奴隷コースを進んでいる気がする。それに対して今後しばらくの間、AIが小説の追い風となる。ただし追い風は期間限定であり、漫画や動画にAIの恩恵が及ぶようになるとピンチがやってくる。こんな感じじゃね?初志貫徹、AI小説ですかね。

聞き流すっていったって多少は頭に入る。朗読によって脳は活性化するかもしれない。そこに衝撃的な、深いテーマを持った話が流れてきたらどうか? 似たようなことは海外で評価されている邦画がやってるんじゃね?

ということで息も絶え絶えな純文学が、ある日Audibleと協力して突然脚光を浴びる。エンターテイメントや出版業界は「裏切られた!」って大騒ぎ。なんてパターンどうよ? ……ないか。やっぱ無理だよな。いずれにせよ、純文学とAudibleは相性良い気がする。

変な事ばっかり書いたけど途中からめっちゃ面白かった。監獄&脱走について全然触れなかったけど、多かれ少なかれみんな共感できそうな予感などと今日も妄想が捗った。芥川賞作家相手に生意気な文句をあれこれ書けるのも素人の強みだよね。

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