『君の膵臓をたべたい 住野 よる』はゲームっぽく選択肢がチラつく

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*「晴耕雨読その他いろいろ」(2023/2/24)投稿記事の修正転載です

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「君の膵臓をたべたい 住野 よる」がゲームっぽい(2023/2/24)

ストーリーが棚から女の子病気編でテーマが選択。キャラクターはゲームの主人公。普通に面白かったんだけどなんかすごくゲームっぽく感じた。

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昔々のその昔

話題になったドラマがあって、家族がハマってた。どうやらそのドラマがゲームのシナリオにそっくりだったらしくて、小ネタ的に話をしたら怒られた。まあ、当然だよね。我ながら余計なことを言ったもんだ。今はもうちょっと大人ですよ。

そんなどうでもいい思い出が頭の片隅でささやく小説でした。普通に面白いし文章も印象的。やっぱり王道は魅力がいっぱいだ。

なんだけどどうにもゲーム的に思えた。あるいはアニメやラノベ。主人公が理屈っぽくガツガツしない。女の子のほうがグイグイ来る。気が利いているように見えてどこかひっかかる独特の会話。全てがそれっぽい。

この手の会話の独特な雰囲気を頑張って言葉にするならば、自己完結の想定問答?とでも言えばいいのだろうか。気持ちはすごくわかる。僕もよくやるし。たとえば誰かに何か言われて、後になって「ああ言えば良かった!」なんて思うヤツですよ。

これが高じると「今度言われたらこう言い返そう」と無益な想定問答になっていく。こういうシミュレーションは自分にとって好都合に作られる。相手がこう言う、自分が言い返す、相手はこう言う、さらに自分が言い返す、相手は悔しがる、勝利! みたいな。

でもたいていの場合チャンスは訪れない。似たような機会があっても思い通りにいかなかったりする。これを日常会話に落とし込んだのがそれっぽい独特の会話文だと思う。

回りくどい表現を相手が聞いてくれると仮定して、理解してくれると仮定して、面白がってくれると仮定して、同じように返してくれると仮定する。仮定が多すぎて現実には成り立たない。おそらく誰かに急に話しかけられたら「デュフフ」とかキモイ声しか出ない。

あるいは早口で想定をなぞって、「なにモゴモゴ言ってんだよ」と笑われる。べつにゲームやアニメを下に見る気はないですよ。その昔、文学とか人生とか言われたゲームだってあるし。そもそも僕もアニメ見るしライトノベル書くし。

小説だって同じ根っこの想定問答集、多かれ少なかれご都合主義物語だ。ただし、より閉じた世界の言語は独特な雰囲気を持つんじゃね? 純粋にそう思ったため、全部がそれっぽく見えた。でもってキーワードが選択なわけだからますますゲームっぽく見えた。

選択肢がチラついてしょうがない。ひょっとしたら意図した? いずれにせよ、この小説自体ゲームのシナリオみたいに感じられた。前のめりになり過ぎると逃げられ、かといって素っ気なくし過ぎてもダメ。正しい選択肢を辿った際に見えられるトゥルーエンド的な小説じゃね?

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もうひとつの選択肢

現実的に最も選ばれる選択肢はタイムアップだと思う。YesでもNoでもない。たいていの場合タイムアップはそのどちらとも明確に異なる。

何でかって言うと現実世界にはそんなにグイグイ来る人いないから。子供の頃の親くらいだと思う。すごく顔が良いとか、お金持ちだと歳を取っても相手にされるかもしれない。でも普通はそんな人出てこない。

さらに言えば、子供の頃は選択肢が少ない。敢えて冒険しないでみんなと一緒に歩いて行けばみんなと同じような所にたどり着く。高校行って、大学やら専門学校行って、会社に入って、結婚する。

しかし人によってはかなり早い段階で、自分の好きな物事を手にとってたりする。選択肢がたくさんあるよ、って僕みたいなニブイ人間が気づかないうちにちゃんと遠くを見据えてる、とか。

ニブイ人間はどうなるのか? 選択肢の存在も知らずにタイムアップを向かえるのですよ。知らなかった! こうしておけば良かった! みたいな。

何が言いたいかってそうならないようにアンテナをはりたい。子供たちが自分自身で選択肢を探せるようお手本を見せたい。つくづくそう思いました。

さんざん文句書いたけどこの本は面白かった。ストーリーは王道的な良さがある。文章だって刺さるものが多い。熱が腕をすり抜ける、とか群青色を受け入れる、とか印象的。ちょっと引っかかるけど大変面白く勉強になりました。

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