『コンビニ人間 村田 沙耶香』が芥川賞受賞作のくせに面白かった

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*「晴耕雨読その他いろいろ」(2022/11/4)投稿記事の修正転載です

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「コンビニ人間 村田 沙耶香」が芥川賞受賞作のくせに面白かった(2022/11/4)

ストーリーがコンビニ人間物語でテーマがズレ。キャラクターはハイスペック発達障害者。とんでもなく面白くてびっくりした。

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かなりのハイスペック

芥川賞受賞作の面白さって基本疲れる面白さだと思ってる。なんだけどこの本は普通に面白くて、考えさせられて疲れる面白さ成分も十分に含まれていた。大変楽しい時間を過ごせて満足。

つくづく思うのは主人公が幸せになってほしい、ってこと。この人は絶対に発達障害だと思う。そういえば僕の父も息子にたいして「いつ治るのか?」みたいに治るって言葉をよく使ってた。そういうもんじゃないのだよ。

我が家の長男と主人公の大きな違いはスペックの高さにある。主人公は周囲とのズレを感じ取り合わせるよう努力できる。見せかけてる? ってだけでもすごい。でも根本にあるのはやっぱり定型発達とのズレだ。

おそらく優先順位をつけるのが苦手で目的達成のために前提条件が見えなくなってしまうタイプとみた。たとえば八百屋お七的な事だと思う。恋人に会いたくて火をつける、ってのは目的を達成できるかもだけど一般的に遵守するべき道徳をすっ飛ばしている。一般的な思考と大きくズレている。

これはとても困ることだろうけどマニュアルがあれば対処できる、ってのが主人公のすごいところだ。なにしろコンビニはマニュアルのカタマリだろうから適所だね。

さらにこの人はもっと先に進んでいる。コンビニがどうあれば良いか、理解して素早く動くことができる。これってフローとかゾーン的な状態だよね。かなりの特殊能力者だ。

今の世の中に一番順応しやすい発達障害者は勉強の面で能力が高いタイプだと思う。勉強さえできれば変わり者もある程度許容される風潮がある。主人公はそっち方面ではないがひとつの分野で秀でているからやっぱりハイスペックだと思う。ホント、うらやましい。

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別の場所があるのでは

こういう優れた人間が多少変わり者でもなんでもその分野で才能を発揮できる社会こそ本当に素晴らしい社会だと思う。ある意味正直者がバカを見ない世界。

本人が望んでいるのだから生涯コンビニバイトでも良いのだろうが、何か別の場所があるんじゃないかと考えてしまう。コンビニの声が聞こえるならマネジメントができるんじゃね? 伝説の店員として後輩のお手本になれるんじゃね?

そのほうが世のため人のため、コンビニのためだと思う。本人の意思を捻じ曲げろ、ってことではなくてそういう道もあるよと選択肢を示せる社会が良い。ぶっちゃけ言うと僕は主人公がコンビニバイトなのはもったいないと思う。

大手コンビニチェーンの会長に拾われてマネジメントに加わるとか、同じような境遇の伴侶と幸せに暮らすとかそのくらいの明るい未来は欲しい。……いや、お話的にはダメになるけどね。実際にこういう人が存在したならそれくらいの幸運はあってほしい。

ここで発達障害者の年齢三分の二説を強引に当てはめてみる。主人公が就職活動したのは二十二歳くらいだろうから十四歳、現在の三十六歳は二十四歳ってことになる。

十四歳に面接はキツイでしょ。二十四歳なら大丈夫だろうけど、実際には三十六歳だから蹴られてしまう。ハイスペックなのにコンビニ以外の選択肢を可能性を試すことができない。超残念な話だ。

似たようなことは定型発達でも十分起こりうるんじゃないかと思った。会社に入って十年、二十年ってスパンで何もせずにいた人間と、ひとつのことに専念してスキルアップを心掛けた人間と、差はとんでもなく広がりそうだ。つまりは後からハイスペック人間。

最近は残業時間を制限されているし、働き方改革もあるしで、こういう人間は増えるんじゃね? 自らのハイスペックに気づいた人は転職を意識するだろう。ハイスペック人間に転職されたくない会社側は評価体系を見直すことになるかも。

だとすれば社会的には良い方向に進みそうだ。年齢や境遇にとらわれず評価されればこの本の主人公とかすごいわけだし。もちろん社会も発展する。などと今日も勝手な妄想が広がった。面白い本は考えごとが進んで困る。

その他の面白ポイントとしては主人公の言動だよね。実際に知り合いならホラーレベルだけどお話だからちょっとした言動のズレに笑ってばかりいた。思考を刺激されて面白い、とても良い本でした。

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