いろいろ読みたくなる
「ベストセラーなんだから面白くて当然では?」という疑問を乗り越えて面白い。いろいろ読みたくなってしまう一冊。難を言えば、面白いのは著者の読書レベルが高いからなんじゃないの説が否めない点。やっぱり楽しもうと思ったらそれなりの素養が必要っぽい。

本を枕にしたエッセイ
なんかここ最近似たような本をよく読む。『だいたい夫が先に死ぬ これも、アレだな 高橋 源一郎』も『本当のことしかいってない 長嶋 有』も書評だけど、「本を枕にしたエッセイ」の雰囲気を濃く感じる。本書『ベストセラーだって面白い』もそうですよ。


いずれも、ある本の書評から始まって、別の本の話、あるいはその本で考えた事柄について掘り下げていくスタイルです。でもってこのブログも同じスタイルです。珍しいスタイルなのかなー、と思ってましたけど、わりとメジャーっぽい。
そんな中、本書の特徴はめっちゃロングレンジなこと。どうやら20年、30年のスパンで似たような本がベストセラーになるっぽい。このあたりに気付いて指摘できるのは、長いことベストセラーを読み続けてきた著者ならではの強みじゃね?
僕だって読書歴数十年だけど、何しろ図書館の本メインだからね。今現在流行しているベストセラーを読んで、さらに四半世紀前のベストセラーと比較するとかできない。最近ブログ移転に伴い、10年くらい前の記事を読むことはあるけど、図書館の本ばっかり。
ベストセラーよく読むよって人でも、詳細な記事でも書いてない限り数十年前との比較はできない。昔こんな本が売れてましたよー、ってだけでなく、その本の内容にまで踏み込んで書けるのは、長年にわたる著者の積み重ねがあるからだ。
いくつか読んだことのある本が出てくるので、それを見ているだけでも昔を思い出して楽しい。『夜は短し歩けよ乙女 森見 登美彦』は図書券かなんかをもらって新書で買った記憶がある。『川島隆太教授の脳を鍛える大人の音読ドリル: 名作音読・漢字書き取り60日 川島隆太』もさんざんやりましたよ。

やっぱり寛容さ
あと個人的に楽しかったのは聞き書きの話。最近興味あるのですよ。『バカの壁 養老 孟子』は編集者が嚙み砕いた口述筆記らしい。「本にはそういう形式も多くて」みたいなことが書いてあって、その他にも怪しい本がある。
ただ何と言っても気になるのは著者の読書レベルの高さだよね。著者のように読書を楽しむには、ある程度の読書能力が必要なのでは? 苦労してそんな能力身に着けるよりなら、大人しく動画見てるわー、ってのが最近の風潮だと思う。
読書の能力って言うと、読解力だったり、名作の知識みたいだけど、それだけじゃないっぽい。もちろんあればあるに越したことなくて、その分楽しめるんだろうけどね。でもおそらくもっと大切で、身近なものが本書には書いてあるのですよ。
大事なのはズバリ、寛容さだと思う。中国との文化論に関する話の中で出てくるんだけど、著者はかなり寛容。笑って楽しむくらいが異文化交流では、的なことが書いてある。僕なんて「背景が違うんだから、わかり合うとか無理じゃね?」とか最初から諦めてたのに。
他には別分野の有名人が書いた小説に対して、最初は余裕綽々で読み始めて途中から背筋が伸びる。この辺り見事だと思う。僕が考える書評家のイメージだと、面白くて驚いたとしても「ふん、素人にしてはまあまあだな」とか言いそうだけどね。僕の発想が古いだけ?
ということでやっぱり寛容さが重要。寛容であれば、多少読書が苦手でも、多少アレな本でも楽しめる。そもそも寛容だったら、本なんか読まなくても毎日楽しめるだろうしー。……うーん、寛容である方がよっぽど難しい気がしてきた。
それにしても、ベストセラーを読んで書評書いて生活する。夢のような仕事じゃね? 旅行雑誌のライターも垂涎職業だけど、同じくらい羨ましいよね。さらに読書レベル高くて、っていうか職業的に高くなりそうでズルすぎ! などと妬まない寛容な本好きの人におススメです。


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