当てが外れた
テーマが人形でストーリーが人形の戸惑い、キャラクターが人形。不倫の話を読もうと思って、この人の本を借りてきた。ちょっと違う感じだったので当てが外れたが、それにしたって意外で面白かった。でも女性バカにし過ぎじゃね?

人形怖い
ちょっと前に読んだ『だいたい夫が先に死ぬ これも、アレだな 高橋 源一郎』に井上荒野って名前が出てきた。ここ一年位、ブログの移転をしている関係で昔の記事を読む。そこで僕が「共感できない」って言ってる人だ。今ならできるんじゃね? と思って借りてきた。



そもそも僕は「不倫は共感できない」という立場なのに興味津々だ。興味の出どころは、人間が繫栄する過程で手に入れた一夫一婦制が今の時代にあってるの?って疑問。その点でリアルだとちょっと距離をとりたいオカマに対して興味津々なのと似ている。
ということで改めて不倫ものに挑戦。……と言うつもりだったんだけどこの本はちょっと違った。単純な不倫ではなく、ひねってある。でもって僕の興味は不倫要素ではなく、ひねり要素に興味が向かってしまった。目的は達成できてないけど、結果オーライ的な?
話的には十年くらい前に読んだ『ボクの妻と結婚してください。 樋口 卓治』に似ている。その点で、エンターテイメントと純文学が同じような設定を扱ったらどうなるのか?ってあたりが興味深い。『僕の妻~』には根本的な部分で共感できなかったけど、『ほろびぬ姫』には共感できましたよ。

ここまでひどくはないけど、僕の妻が他人に依存するタイプ、他人の言うことをホイホイ聞くタイプだ。だから共感できるんだと思う。ママのスマホ貸してくれー、お願いお願い、って子供に言われたら、文句言いながらも貸しちゃうタイプ。そのうち文句言いながらお金とか渡しそうで怖い。
もっと怖いのは僕の存在。そんなつもりはさらさらないんだけど、僕が妻をそういう人間にしてるの? 僕は人形制作者なの? 人形が人形であることを都合よく思うタイプなの? ……怖いのでちょっと気をつけようと思います。
バカにしすぎじゃね?
それにしても著者は大丈夫なのかね? 経歴的に女性の共感を集めてきたタイプの人だと思ってたんだけど、この本ではわりと女性をバカにしている気がする。まずタイトルがそうでしょ。かと思えば、女性であることをちゃっかり利用しているスタイルな気がする。
山田詠美みたいな変わり者の女性でない、普通の女性が性について語る、ってだけで昔はポイントが取れたと思う。赤裸々、って感じ? でも今はそうでもない。女性作家が登場人物の不倫を扱っても、自慰をさせても、昔みたいには驚かれない。
だとすれば残されたアドバンテージは何か? もちろん最強は女性ならでは感性なんだろうけど、そもそも感性なんてわりと人それぞれでムズイ。それに比べれば「女性をバカにできる」ってのは、わりと明確なメリットじゃね? 男が女性をバカにすると叩かれるけど、女性ならある程度許される。
これはレディースランチや大学の女性枠に似ている。そういうオトクなものはガンガン使えばいい。僕だって大人の休日俱楽部が待ち遠しい。しかしなんとなく著者は使いながらバカにしている印象があって、そのあたりが鋼メンタルじゃね? いつものように間違ってたらサーセン。
もっと言うと自虐的な部分もある気がする。性に関する記述がばら撒かれてるなー、と思ってたら、あるキャラクターが、衝撃的な言葉を餌のように撒く、みたいな記述が出てきた。なんとなく「性に関する記述」が餌で、餌に集まる読者、餌をばらまく著者、みたいな構図が浮かぶ。
それを著者は第三者的な立場から眺めてバカにしている、ほろびぬ姫含めバカな人間を愛おしく思っている、……なんてイメージはきっと考えすぎだよね? いずれにせよ、ここまで妄想できるってのは面白さの証拠な気がする。
ちょっと、というかかなり当初思ってたんとチガーウだったけど、面白かったので良しとしよう。普通の不倫ものに飽きた人、人形みたいに人の言うことを聞く知り合いがいる人におススメ。……どうすればここから脱却できるのかね?


コメント