『最後の息子 吉田 修一』は才能駄々洩れ感ハンパない|センスの塊

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*「晴耕雨読その他いろいろ」(2020/2/28)投稿記事の修正転載です

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「最後の息子 吉田 修一」は才能駄々洩れ感ハンパない(2020/2/28)

ストーリーはオシャレ日常色々でテーマは日常。日常系ってのはかわいい女子高生が出てきてそのほのぼの毎日を愛でる、そんなジャンルだと思ってた。でもこの本も立派な日常系だ。ただし出てくるのはオカマ。

いや、オカマの話は置いておこう。そうしないと僕がオカマに惹かれる理由の話になってしまう。それって前書いたし。この本に出てくる話は全て日常系。でもそこにあふれる才能感がハンパない。もう駄々洩れレベルで。

こんな小説が新人賞に送られてきたら、さぞ審査員はびっくりしたんじゃね? そんな風に思ってしまう。ともかく文章が凄い。そしてこれが日常系との相性抜群。ストーリー的には何かがあったわけじゃない。何しろ日常系だから。でもそこが良い。

だってこの調子でストーリーが込み入っていたら訳が分からなくなる。テーマも前面に押し出されているのではない。もちろんあるよ。Waterの「絶景の中を通っている~」とかつくづくそのとおりじゃね? それを表すための日常なんだと思う。だからうるさく自己主張はしない。

ということでいつものように考える。ああ、こんなの書いてみたいなぁ、と。でも無理なのだよ。多分だがストーリー、テーマまでは考えれば何とかなる。向き不向きはあっても勉強すればある程度まで着実に上手くなるんじゃないかと。少なくとも僕はそう思っている。

一方で文章、というかリズム感というか、それはセンスだよねー。ストーリー、テーマよりは持って生まれた才能がモノを言う、そんな世界な気がする。

例えば僕は本を読む。すると作者の意図するしないは無視して何かしらテーマを見付けようとする。で、見付けたテーマについてあーでもない、こーでもないと考える。そして、僕はこう思う、が出来上がる。それを表すためにはストーリーはこっちの方が良いのでは、なんてことがある。

結局のところ小説を読んでいても、アニメを見ても、ゲームをやっても、行きつくところはそこなのでは。こうだったら良かったのに。作者の考え、世間の評価、全部気にせず自分だったらこうする、なんて妄想。

それこそある種の人間にとって読者としてのゴールであり、創作する楽しみのスタートじゃね? そこでどんなに分析が優れていてもダメ。あ、批評家にはなれるかもしれない。再構成が秀逸、でもダメなんだろうね。そんな奴はゴマンといる。

最後の一押しこそセンスであり、小説では文章なんだと思う。99%の努力ができていても1%の才能がなければならない。どんな分野でもきっとそうであって、そこで挫折した人がたくさんいそう。

1%の才能の有無が最初からわかっていれば良いのだが、それって努力の後でしか明らかにならないんだろうね。まだまだ努力の足りない僕がすべきことは明白なわけだ。

ということで考えが刺激される大変面白い本でした。文学界新人賞に応募したくなる作品。もちろん普通に読んでも面白い。……っていうか京子の方が良くね?

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