*「晴耕雨読その他いろいろ」(2018/1/17)投稿記事の修正転載です
「柿のへた 御薬園同心 水上草介 梶 よう子」が芯の通った草食系物語で感服(2018/1/17)
ストーリーが草食系物語でテーマも草食系。と言っても食べる方ではなく薬の話。
主人公は草食系のお侍でヒロインが上司の娘で男勝り。この組み合わせは現代物の小説だとありがちパターンだ。一見頼りない主人公が見事な問題解決能力を見せる日常系ミステリ、それを江戸時代に持って行って薬という面白要素をプラスした感じ。
江戸時代に舞台を持ってくる際に、時代劇といえばチャンバラだよねー、とさらに味付けしたくなりそうだがその要素はさっぱりない。その辺り芯が通っていて見事だ。これで主人公は一見弱そうに見えて‥、パターンだとまあ面白いかもだけどちょっと興覚めだ。
何故だか分からないが人間は高みを目指すべき、と世の中相場が決まっている。なのでせっかくチャンスがあるのにそれをフイにする行為は良しとされない。現実だとまあ許される。でもお話だと基本ダメだ。
1%でも成功の可能性があるなら俺はそれに賭けるぜ!が横行するのは少年漫画だけではない。結構リアルな小説でも主人公は困難に挑戦する。別に努力だけで何とかなるなら良い。失うものがなく大変なだけとかなら挑戦するべきだと思う。でも実際のところ努力だけってのは稀で色々と失う。
例えば僕みたいに普通の会社員のオッサンが小説家を目指して頑張るとする。別に背水の陣を敷くため会社辞めます!とか高価な小説教室に通いますとかでなく余暇を趣味に当てたまに雑誌の賞に応募するみたいな。それでも僕の挑戦は家族に色々と影響を与えている。
会社から帰ってきて子供達の勉強を見る時間が減る、休日に遊びに行く時間が減る、とかだ。別にそれくらいいいじゃん。家族が頑張ってるんだから応援してくれるでしょ、って気もするがこれが何年も続いたら少々気になる。
何より僕自身が気になる。子供達はすぐに大きくなって僕を煙たがるわけだ。今みたいに一緒に遊んだり勉強見たりできる時間は貴重だ。今の幸せを削って良いの?って具合に。こんな調子で細々と色々失う。
特に年を取ったら睡眠時間削って、ってわけにもいかないので努力するとしても何かと交換になる。という事で今が幸せだから良い、無理して今以上を望まない、ってのも立派な結論なわけだ。足るを知る、って感じの現実路線だ。
だと思うんだけどお話だと立派に胸を張ってそれを選択するのはあまり見ない気がする。僕があまり本を読まないからかもだが。ひょっとして共感しにくいからかも。そこまで冷静に考えて現実路線を選択できる人間が少なく多少なりとも挑戦した人の方が多いのかもしれない。
結果成功していたとしても失敗していたとしてもそういう人は挑戦者に共感しそうだ。あるいは現実路線を選択した人も心のどこかでちょっと後悔していて挑戦者の方を応援するのでは。やらずに後悔するよりならやって後悔した方が良い、って発想に近いのかもしれない。
この本はユニークな設定で主人公もブレず面白い。草食系を貫いてくれます。一風変わった時代劇好き、あるいは逆に現代物日常系ミステリ好きだけど変わったもの読みたい人におススメ。
↓学校のジャージも草食系だよね。

↓依存症もある意味草食系じゃね?

↓草食系をこじらせると逆にFXとかにハマって身を亡ぼすのかも。


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