『ひなた 吉田 修一』はヤバい|ひなたはそこら中に転がっていそう

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*「晴耕雨読その他いろいろ」(2021/2/12)投稿記事の修正転載です

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「ひなた 吉田 修一」はヤバい(2021/2/12)

ストーリーがオシャレ系男女四人物語でテーマがひなた。なぜ吉田修一を読むのか? いや、家にあるからだよ、と言ってしまえばそれまでなので持ち主である妻に聞いてみた。「なんとなく読みやすいから?」……ですよねー。

なんとなくオシャレっぽくて、なんとなく考えさせられて、なんとなくゲイが出てきて、って感じで僕もなんとなく読んでなんとなく満足していた。……この本のラスト数ページまでは。

普段なんとなく泳いで楽しんでいた池があったとする。で、ある日いつものように泳いでたら自分のすぐそばに水圧を感じ、バカでかいなにかがいるっぽいことに初めて気づいた。そんな気分です。危険なものじゃないとしても敵意がないみたいでも、その圧倒的なバカでかさに震える。

この本にはそんなヤバヤバ感があった。もともと吉田修一は好きだが「なにが一番?」と聞かれたら今後はこれを挙げるね。忘れるかもしれないけど。「Wataer」もいいが全然違う良さ、ただ良いだけじゃない良さがこの本にはある。

なんでそんな気分になったかと考えた。どうやら少し前に読んだ「美徳のよろめき」が関係してるっぽい。あの本にも日当たりに関する描写があった。それとの対比で僕はこんなに刺激されているのでは。

ひなたはいい。特にこの季節基本寒いから、徐々に力強さを増してく日向はそれだけで心強い存在だ。でも必ず日はかげる。かげることがわかっているなら、どうするべきか? あたらしいひなたを求めさまよう、ひかげにならないよう努力する、いろいろだと思う。

でもね。そうはいかないのだよ。太陽と違って斜陽になるとは限らない場合、ひょっとしたらもう一度盛り返すかもしれない場合、どうしても期待してしまうのが人間だ。なんとなく昔の暖かさにすがり、すでに冷え切ってきているひなたから出ていけない。

この先に解はないと薄々わかりつつも居心地の良い場所を離れられない。それって誰の身にも起こりそうだ。さらに恐ろしいのは急激な環境変化だ。万全と思えたひなたがある日突然危うい場所になる。実際に環境が変わらなくても心境が変わって気づくだけで怖い。

じゃあ僕らは常にひなたを求めて動き回るべきか? 軽々しく動いちゃったから逆にダメとかないの? これに対しては機を見て変に応じるしかない。この問題は進化に似ている気がする。隕石が降ってこないことを信じ、その環境で最適化を目指すか。柔軟な対応を可能とするべく多様性を維持するか。

多分二本立てでいくべきだと思う。堅実路線と冒険路線の二つで、状況によって割合を変える、みたいな。どっちにしろ分散のし過ぎは中途半端に終わるので不良債権は早々に切る。そんなところじゃね?

などとわかっていつつどうしようもないのが人間だ。明日も朝早いのにと思いつつやめられないネットサーフィン。ダイエットは明日からと誤魔化しつつついついお腹いっぱい食べてしまう。小さなひなたはそこら中に転がっていそう。

以上、今日も色々考えて自己満足。妄想が刺激されて止まらなくなり、発散ばかりで一向に収束しないとても面白い本でした。

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↓この本を読んで日当たりが引っかかったっぽい。

『美徳のよろめき 三島 由紀夫』で何がよろめいたのか気になる
『美徳のよろめき 三島 由紀夫』はストーリーが有閑不倫物語でテーマがよろめき。生物的に考えたらどちらにもメリットがありそう。人間はメリットとは別のところで相手を独占したがり、同時に自由恋愛を求めているのでは。そういうのって凄く人間っぽい。

↓ひなたに疑問を持たなければすぐには破滅しなさそう。

『銃 中村 文則』で社会適正が気になった|ぶん殴られたような結末
『銃 中村 文則』はストーリーが大学生転落人生物語でテーマが社会適正。ラストがすごかった。このままありきたりに終わるのか、それともつまらなく前向きに終わるのか。なんて思ってたらぶん殴られたような結末だった。消臭可能だなどと思わないことだ。

↓陰ることがわかっているひなたから抜け出せるか? ムズイよね。

『最後の息子 吉田 修一』は才能駄々洩れ感ハンパない|センスの塊
『最後の息子 吉田 修一』のストーリーはオシャレ日常色々でテーマは日常。この本に出てくる話は全て日常系。でもそこにあふれる才能感がハンパない。もう駄々洩れレベルで。ともかく文章が凄い。そしてこれが日常系との相性抜群。そこが良い。

↓現代にいないタイプの人間。では誰が寺内貫太郎を殺したのか?

『寺内貫太郎一家 向田 邦子』で寺内貫太郎殺人事件犯人が気になる
『寺内貫太郎一家 向田 邦子』はテーマが寺内貫太郎でストーリーが寺内貫太郎、キャラクターは寺内貫太郎。気が短くてすぐ手が出るわりに、思いやりがあって優しい。でも素直になれない不器用親父。ある意味魅力的なんだけど、現代日本には存在しえない。

↓ひなたが陰るように、いつの間にかニセモノになってたとかありそう。

『ニセモノの妻 三崎 亜紀』で本物って何よって思った|不思議設定
『ニセモノの妻 三崎 亜紀』はストーリーが不条理当たり前世界でテーマが真偽。キャラクターは翻弄される人。僕らが知っていることは少ない。それでも問題なく毎日過ごせてる。だからなんとなく、僕らは世界をだいたい理解していると錯覚しがちなんじゃね?

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