すべては想像力
テーマが想像力でストーリーがとばっちり日陰人生、キャラクターが翻弄される人。マジでこういうのって切ないよね。どうしようもないけど、どうにかしないといけない。「繋がり」も気になったけど、それもまた想像力の産物ってことで。

想像力の欠如
あまりにも良い話で意外だった。東野圭吾といえば個人的に『あの頃ぼくらはアホでした』。最高に面白いがシリアスとは程遠い。あるいは『マスカレード・ホテル』みたいなエンターテイメントなイメージが強かったもんで。


『架空犯』も『誰かが私を殺した』も面白かったけど、どちらかといえばアイディア勝負な人だと思っていた。今回読んだ『手紙』に奇策は一切なく、ただただ現実を突きつけるのみ。最後はキレイに終わるが、それもまた一例であり答えなんてないんだと思う。


そんな中、まず最初にお兄さんの想像力のなさが気になった。もちろんこんな大それた事は経験ないが、些細な事なら身に覚えがあり過ぎる。明日も会社なのに夜更かし、体重増えてきたのに間食、面倒くさいから手抜き歯磨き、などなど。
なので手放しでお兄さんを笑えない。事の大小はかなり違うが、根っこは同じ。ちょっとしたことであり破滅とまでは行かないが、QOL的なアレを着実に下げるものは身の回りにたくさんある。誰もがそんな罠にすっぽりハマってそう。
積もり積もるとどうなるか? ……今度奥歯を抜くことになりました。長年の手抜き歯磨き&歯医者検診ハガキ無視の結果です。即効性はないもののツケは払わなければならない。逆に言えば一括支払いでない分、気が付くととんでもない額になってるから怖い。
これを回避する方法はやっぱり想像力だろう。想像力をフル活用して、このまま行くとどうなるか、上手くいけばこんな感じ、最悪こうなって、平均はここ、などと想像したい。でもってメリットデメリットを図るわけだ。
……しかしどうも違う。お兄さんは弟を思いやって甘栗が気になったりして、しっかり思いやりがある。つまり想像力がない、ではなく想像力がおよぶ範囲がやたら狭かったんじゃね? これはムズイ。どうやって広げるの?
答えは繋がり?
自分の周囲なら想像しやすい、しかし見知らぬ他人の周囲は想像しにくい。これを補うのが法律なのかもしれない。見知らぬ他人を殺す⇒捕まって自分が犯罪者になる、なので見知らぬ他人から自分へと対象を転換できる。
ただしこれだと「捕まんなきゃいいじゃーん」となる。それじゃあ困るのだよ。この辺りが法律の限界なんだと思う。だからこそ警察は頑張って犯人を捕まえようとするが、そもそも明るみに出ない犯罪は捕まえようがない。
想像力の範囲を広げる別の方法が「繋がり」なんじゃね? 「繋がり」を意識すればするほど、自分とごく近い人との「繋がり」から、見知らぬ他人とごく近い人との「繋がり」を類推しやすくなる。さらにフィードバックがかかり、「ごく近い」⇒「わりと近い」となれば範囲はどんどん広がる。
どんどん広がれば、『アドラー心理学入門 岸見 一郎』みたいな共同体を形成するかもしれない。あるいは『リーダーは「戦略」よりも「戦術」を鍛えなさい 加来 耕三』であれこれ考えたみたいに、戦術領域に含まれ強くなるのかもしれない。


目指すは「心の欲する所に従えども、矩を踰えず」だ。何もこれは中国に限ったことではない。インド人も昔から知ってた。『人生の扉を開く最強のマジック ジェームズ・ドゥティ』他様々な本によれば、瞑想は感謝も含むっぽい。僕は雑念が多くて全然そこまでたどり着かないけど。

「繋がり」を鍛えようと思ったら当然基礎練習は日常会話。さらにはライン、メール、手紙だろう。……なんか最近似たようなことを書いたと思ったら『三島由紀夫レター教室 三島 由紀夫』か。思いやりが大切なのですよ。

でも「繋がり」は目に見えるものでもないから結局想像でしかない。そうすると卵と鶏みたいなんだけど、両者を循環させれば強化できそうな予感。……ミもフタも無いこと言うと『アタマがどんどん元気になる! ! もっと脳の強化書2 加藤 俊徳』みたいな欲求主導の脳トレだよね。

世の中どんどん想像力不足になってきている気がする。闇バイトも、不登校も、僕の抜歯も、想像力の欠如がなせる業。……ひょっとして世の中の変化が早くて想像力が追い付かない? だとすると人類が大型哺乳類を絶滅させたみたいに、今度は僕らがやられる番かも。
そこらへんはもう個人個人で対処するしかない。想像力を強化して、せめて可能性を天秤にかけたい。わかっちゃいるけどやめられないならまだしも、ノー検討で失敗は避けたい。などとあれこれ考えさせられる良本でした。




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