記憶にございません
テーマは記憶、ストーリーが記録でキャラクターは余命数ヶ月。そうだよね。記憶は曖昧だよね。僕も最近ほんと多い。そんなことありましたっけ? とか言ってたら自分が作った資料とか出てきてマジでビビる。でもって当然なかったことにしたい記憶もある。

AIが出てきますよ
相変わらず適当に借りてきたのに僕の現状にあった本だった。「今自分が読むべき本に巡り合う」的なことが書いてあったのって『乙女の家 朝倉 かすみ』だったと思ったけど、どうだったかね? 何しろ記憶は曖昧なものなのでしょうがない。

年々物忘れがひどくなっていき、冒頭で書いたような身に覚えのない出来事が多くて困る。そんな現状だけでなく、最近AI聞き書きを始めた、って点でも、まさに今読むべき本だったと思ってる(以下「AI小説②」の記事参照)。本書『あなたの名』にもAIによる記録が出てくるのですよ。

2冊目のAI聞き書き本は、1冊目を作例とした書き方の本だ。ってことで1冊目を書いた際の実例を相談したんだけど、これがボロボロだった。僕の記憶と、あとで調べた原文が違うパターンが非常に多かった。わずか1か月前の話でこれだからね。我ながら恐ろしい。
もう一つ面白かったのがAIの不十分さ。全てを伝えることなんて当然無理だからどこまで行っても不十分。なんだけど僕が提示した不十分な話も、AIが持っている大量の一般論と組み合わせるとそれっぽくなる。それっぽくなっただけで、よくよく読むとおかしいのですよ。
そんな自分の経験と似たような話が出てくるので興味深かった。でもまあ、昔話とか実際にあった知りえない情報は難しいとして、一般的な応答を延々と繰り返すだけのそっくりAIなら、すでに実現可能なんだろうなーと思った。
そもそも僕らは故人の写真を持ってるし、映像を持っている。これにAIが追加されたって驚かない。なんか違うよってんで誰かが拒否するのは自由だとしても、興味がある人は試してみて、それが結構よかったなら、普及するのを誰にも止められないだろう。
フィジカルAIは?
本書のAIはソフトウェアだ。もし故人のAIを作ることが、写真や映像を残すように普及したとすると、その先にあるのはフィジカルAIだ。イメージ的には『たまさか人形堂物語 津原 泰水』のラブドールみたいな感じ。

故人のフィジカルAI的な発想は大昔からある。鉄腕アトムがそうだよね。あれは「もっと似せて作れよ。なんで余計な機能つけてんのさwww」みたいにツッコミどころあるが、変な追加機能不要で完全に似せて作るとしたら、結構良いセン行くんじゃね?
人間の顔、表情に関してはデスバレーが存在し、似せれば似せるほどキモくなるって話を聞いたことがある。例えば99点以上でなければ合格点とならず、99点未満は数字が大きいほどキモい、という恐ろしい状態だ。
これを現代の最高技術で表情可動とし、表情の学習自体もAIでもってガッツリおこなう。ただそうなると気になるのは、故人のいつの時点に似せるかだよね。鉄腕アトムみたいな事故死なら悩まないけど、歳とって病気で亡くなった人はどうするか?
子供にとって印象的なのは、小中高あたりの親だよね。故人だって亡くなる直前の不健康状態を再現されるよりも、若い頃の方が良いに決まっている。たとえば僕の親なら45歳くらいの頃かね。……今の僕よりも若いんだけど、そのアンバランスには目をつぶろう。
問題はデータがあるかどうかだ。45歳の人間が死ぬことを想定してデータを取るか? うーん、なんかあんまり取らない気がする。もちろん人によるんだろうけど、少なくとも僕は45歳の時に遺言を準備してない。
ただもうその頃には完全なデータ社会、AI社会になっているからデータ的には問題ないのかも。日々のあらゆることをスマートグラスで記録し、なんでもAIに相談して方針を決定する世の中。実際に起こったことは当然として、頭の中までしっかりデータ保存されそうだ。
そうなると記録として残したい/残したくないデータ、誰かに伝えたい/伝えたくないデータの線引きがムズい。AIがポロっと「実は不倫してました。隠し子がたくさんいますよ」とか暴露し出したら困る。
ということで技術的に故人のAIを作ることは可能な気がする。それにたいして世の中の急激な変化に法律的な枠組みが対応できないんじゃないの? などと今日も妄想が発散。書き忘れたけど名前って大事だよね。まさに記憶を係留する杭であり綱だ。なるほど納得の面白本でした。


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