『隣のずこずこ 柿村 将彦』はハリウッドでよくある世界滅亡の村版

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狸につままれたい人用

ストーリーが世界滅亡の村バージョンで、テーマがモラトリアム。キャラクターは人それぞれ。ハリウッドでよくある世界滅亡ものを村に置き換えたような話です。ハリウッドとの違いはすっきりしないことであり、狸につままれたような気分になる。

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モラトリアムに何するよ?

ハリウッド映画ではよく世界が滅亡しそうになる。隕石が降ってきたり、宇宙人が攻めてきたり原因は色々。だいたい主人公がイイ感じに解決して最後はハッピーエンドになる。個人的に注目したいのは解決する主人公以外の人、滅亡を迎える人たちの過ごし方だったりして。

もちろん主人公は抗うタイプ。それ以外の人はだいたい滅亡を受け入れて、家族でのんびり過ごしたり、諦めて怠惰を極めたり自暴自棄になって暴れたり、逃げたり、わけわかんないこと始めたりする。『隣のずこずこ』はこれを村に置き換えたような話だ。

期間は1ヶ月。これを短いと感じるか長いと感じるかは人それぞれだ。じゃあこれが1ヶ月じゃなくて、男性81年女性87年だったら? そんなことがどうしても気になる話なのですよ。死ぬまでのモラトリアムをどうやって過ごすか、ってことですな。

80年とかだと長いのでちょっと実感しにくい。けどモラトリアムはそこら中にあるよね。よく言われるように大学生は大人になるまでのモラトリアム。あの頃僕は何してたっけ? そこそこ真面目に、わりと怠惰に過ごしてた気がする。

今僕は歳とって体や頭が満足に動かなくなる前のモラトリアム状態にある。もちろん昔に比べれば不満ばっかりだけど、まだわりと動く。子供たちはそのものズバリ、子供モラトリアムだ。不登校だけど危機はまだ先にあり切羽詰まってない感じだったり、ママが明日の準備してくれたり。

ここで気になるのは確率だよね。狸に呑まれるのは高確率で回避不可、ハリウッド映画も高確率だけど主人公の活躍で回避可能、子供モラトリアムも高確率だけど本人次第で危機は回避できそう。さらに真の確率(誰もわからない)と見かけの確率があって話がややこしい。

じゃあ僕の歳とって~危機は回避可能か? 人間なんだからいつかは死ぬとしても、加齢への抗い=アンチエイジングは昔からおこなわれていたし、その結果平均寿命は超延びた。それどころか死にすら抗った人の話は多く、医学が発展すればどうなるかわからない。

いずれにせよやることはただひとつ。抗うことだ。でもっておそらく受け入れるかどうかは別問題っぽい。正解は誰にもわかんないし、受け入れなくても受け入れても結局抗うんだし。ということで死ぬまで抵抗し続けますよ!

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どっちつかずじゃね?

『乙女の家 朝倉 かすみ』だったと思うんだけど「読むべき本に出合う」みたいな記述があった、……ような気がする。話自体も好きだけど、この言葉をずっと覚えている。脳が自分の興味ある部分を拾っているだけな気もするけど、わりとよくあるのですよ。

『乙女の家 朝倉 かすみ』は文学的日常系で超好み|キャラって大事
『乙女の家 朝倉 かすみ』はストーリーが文学的日常系でテーマが自分とは。漫画なんかで日常系ってジャンルがある。何気ない日常の面白さを描いたもので可愛い女の子グループとかの四コマだったりするやつ。あれを小説にしたような感じ。

そういう意味で『隣のずこずこ』はまさに読むべき本だった。あんまり良い意味でなくて申し訳ないんだけどね。話的には面白い。面白いんだけど違和感がある。その正体こそが、僕が最近気になっていた純文学とエンターテイメントに関係している気がする。

小説がこの先生きのこるには①漫画、動画に対するメリットデメリット
小説がこの先生きのこるには①漫画、動画に対するメリットデメリット、ってことで今日も妄想が捗る。自力でいくつも書いてダメだったのでAI小説に挑戦予定。せっかく新しく始めるならここらでひとつ今まで考えたあれこれを整理したいと思います。

小説が今後目指すべきは純文学とエンターテイメントの融合、純文学の深いテーマとエンターテイメントの面白ストーリーを併せ持った話だと思っている。これはわりと一般論だよね。個人的には村上春樹、ちょっと前に記事を移転した『コンビニ人間 村田 沙耶香』も良い感じだった。

「職業としての小説家 村上 春樹」で新しい勘違いゲット
「職業としての小説家 村上 春樹」を読んで「説明しない」に注目。知ったこと、考えたことはついつい説明したくなるけど、あえて説明しない人間を目指したい。考えがあって黙っているのか、何も考えていないのか。わかる人にはわかる、……それも勘違い?
『コンビニ人間 村田 沙耶香』が芥川賞受賞作のくせに面白かった
『コンビニ人間 村田 沙耶香』はストーリーがコンビニ人間物語でテーマがズレ。キャラクターはハイスペック発達障害者。こういう優れた人間がその分野で才能を発揮できる社会こそ本当に素晴らしい社会だと思う。ある意味正直者がバカを見ない世界。

これに対して『若桜木虔の作家デビューの裏技、教えます!』に気になる記述がある。ダメポイントの「どっちつかず(例:エンターテイメントかライトノベルか)」だ。……どんな状態が融合で、どうなるとどっちつかずなの?

公募スクール講座「落選理由を探る」で謎が解けた気になった
公募ガイドのコラム「若桜木虔の作家デビューの裏技、教えます!」が面白くて勉強になる、公募スクール「落選理由を探る」をお願いした結果目からウロコって話です。若桜木先生のコラムもスクールもリンク切れなので、そのうち記事自体なくなるかもな予感。

僕はここ最近ずっとこれが気になっていた。大変申し訳ないのだが、『隣のずこずこ』は僕にとって「どっちづかず」の良い例となってくれた。全体的にはエンターテイメントっぽく読みやすくて、途中でたびたび純文学によくある長い独白が入る。ラストがすっきりしない点も純文学的だ。

『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 村上 春樹』
『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 村上 春樹』はストーリーが村上春樹風でテーマが世界の終わり。初期の作品に感じられる無理やりな面白さと、最近の作品に見られる成熟した面白さとのトレードオフが僕にとってちょうど良い辺りに感じた。

ラストのすっきりしない感で言えば『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 村上 春樹』に似ている。しかし『世界の終り~』は色々あった結果納得のすっきりしない感だった。『隣のずこずこ』ほどの違和感は受けなかった。

でもまあ、これは僕の問題なわけだ。おそらく場面場面、読む人毎に「ストーリー:テーマ」比率が異なる。でもってあんまり比率が大きく変化すると違和感を覚えるのでは。僕の許容値が狭かっただけの話で、そうでもなければ審査員絶賛で賞とか取らないよね。

もしも最初っからもうちょっと純文学っぽかったらどうなっていただろうか? だとしたら僕ももっとそのつもりで読んで色々考えただろう。例えば最初の方に書いたように、狸の存在と死の運命を結び付けて、ラストを勝手に解釈&納得できたかも。

まあそもそも、勝手な解釈は無意味って書いてあったからしょうがないか。などと今日も勝手に色々妄想して満足。文句ばっかり書いたけど面白かったですよ。最初のワクワク感は凄かったし。狸につままれたい人におススメ。

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