『紅一点主義 林 真理子』はスケール違いの華やかな生活が凄い

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*「晴耕雨読その他いろいろ」(2016/9/21)投稿記事の修正転載です

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紅一点主義 林 真理子(2016/9/21)

華やかな生活が凄い
・作家の特権がなくなる、とは流石鋭い
・世の中分業が進みハードルが低くなっている

言わずと知れた大作家、林真理子先生のお作である。しかしどんな本を書いた人?と聞かれると読んだことないしさっぱりわからないのだが。

まず圧倒されるのはその華やかな生活。普通の作家のエッセイとか読んでも編集者と食事とか、友達と旅行とか面白そうな事ばっかりしている。ああ、羨ましい。この本でも同じような感じなのだがスケールが違う。誰々と食事、の誰々が大物政治家だったり世界的な有名人だったりするのだ。

世の中には面白そうなことばっかりしているように見える仕事ってのがあるが作家はその最たるものでは。もちろん凡人にはわからない凄まじい苦労があるのだろうが。

じゃあ内容は、っていうと実はあんまり覚えていない。元々コピーライターでエッセイ書いて小説書いて、だなんて独特で面白い感性の持ち主でありそこが世の中に受けたのでは、って気がするが何しろ日常の話題が眩しすぎてその他の話があまり記憶に残らない。

別に僕が煩悩丸出しで、ああー、いいなぁ、小説書いてまぐれでもいいから一発当ててこういう生活してみたいなー、等と、ぼー、っと思っていたからではない、と思う。そんな中印象に残ったのが中ほどにあるヒューマンウォッチングの話と一番最後の教育論。

ヒューマンウォッチングは作家の特権ではなくなってきているのでは、とある。10年以上前の話なのでこれはずいぶん鋭い。人間観察だけなら個人の楽しみの範囲内だがそれを文章にして面白おかしく発表する、ってのは確かに作家の特権であっただろう。

しかしインターネットが発達し、ツイッターが普及した今、これは一般人でも容易にできる。こんな面白い奴がいたよー、っていう興味深いエピソードはあっという間に拡散し大きな話題になる。

考えてみれば人間の歴史は特権撤廃の連続である。昔々、文章を書く、だなんてのは日常に不自由のない裕福な人々の特権だった。学問も全部そうだ。さらに昔は文字を書く、ってこと自体が一握りの有識者のみ可能な、ある意味特権であった。

昔にさかのぼらなくても字を丁寧にたくさん書くのは大変だ。僕のように字の汚い人間が小説を書いて送っても編集者は読むのを途中で止めるだろう。大作家ならまだしも推敲を重ねた後がひどく字はきれいだが原稿が汚い、ってのも不利では。そもそも書いている本人が嫌になってくる。

何かの作業が大変だー、という場合には分業作戦で臨むのが歴史の常だ。分業できる事も人をたくさん使える人間に許された特権だったが最近では機械が解決してくれる。ワープロやパソコンが何とかしてくれたのだ。

それでもどうしようもなかったのが発表する場だがこれまたインターネットが何とかしてくれた。掲示板やブログ、ツイッターなど世の中に向けて発言する場はいくらでもある。意見を発信することのハードルはアホみたいに低くなった。

ヒューマンウォッチングに限らずこんなことがありましたー、ってだけの話ならエッセイを読まなくてもネットで十分だ。

例えば僕なら子育てに関する面白エピソード、みたいに興味のある話はネット上にいくらでもある。作者のファンだったり、華やかな生活が面白い、ってのならプロ作家のエッセイに軍配が上がるだろうが。

おそらく柔軟な発想を持った作家や編集者はこの流れにどう対応するべきか深く、真面目に考えているだろう。下手をすればテレビに対する映画業界やスーパーに対するデパート業界みたいになってしまう。

じゃあエッセイ自体はなくなるか?と考えるとやっぱりなくならないだろう。普通の雑誌にしろ文学系の雑誌にしろエッセイはアクセントとして使われ続けるのでは。それが紙媒体かどうかはわからないが。

教育論に関してはもっと独特な展開を期待したが何かありきたりな気がする。ひょっとしたら僕が作者を知らないだけでこの人の良さは平凡さなのかもしれない。母親に何もない子、って言われたそうだし。

最近の若いもんは、という意見は最古の落書きの一つに見られるくらい古いそうだ。ピラミッド建設時の落書きだとか。おそらくその頃から年寄りにはわからない価値観で人間は成長を続けているのでは。今の若い人もそうなのだろう、多分。

華やかな作家生活を垣間見たい人におススメ。

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