『ひと声かければ5分で片づく!子どものお片づけ 橋口 真樹子』

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*「晴耕雨読その他いろいろ」2015/11/17投稿記事の修正転載です

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ひと声かければ5分で片づく!子どものお片づけ 橋口真樹子(2015/11/17)

相変わらず今現在僕が何に苦心しているか、とそれをなるべく楽に解決したいと思っているズボラな人間だという事が容易にわかってしまうストレートなタイトルの本だ。

片付けは大切である。子供にチョチョッと言うとパッと片づけてくれる、夢のような話だ。もちろん大人だって片付けは苦手だ。自分の好きな趣味の時間と片付けの時間とどちらが良いかと聞かれれば当然好きなことに時間を使いたい。

ましてや子供は好奇心旺盛。楽しいことがそこら中にある。遊んだものを片づけてから次の遊びに移る、だなんて殊勝なことは当然できず、次の遊びを思いついたとたんに即行動である。わかっちゃいるけどやめられない。大人にも子供にも共通する永遠の課題。植木等は偉大である。

しかしそうは言っても誰かが片づけなければならず、自分で出したら自分で片づける、となるわけだ。興味があることをすぐ実行したい子供と、自分の後始末は自分でしなさいと主張する大人のまあ当然と言えば当然の攻防だ。

こう考えると理は明らかに大人の側にある。子供が小さいうちはいざ知らず、時間がたち大きくなればなるほど大人側の主張の正当性が高まる。正義は我にあり。しかし世の中正しい方が必ず勝つわけではない。正義を手にしたわれわれ大人に対して実効的な力を与えてくれるのが本書である。

著者の橋口真樹子はお片づけカウンセラーという面白い肩書のプロであり、そのノウハウが実例とともに紹介されている。例えば子供に片付けの重要性を自覚させる。大人の勝ち、子供の負け、ではなく、あまり好きな言葉ではないのだがWinWinの関係に持ち込もうというわけだ。

ハードルを下げるのも重要。そりゃそうだ。大人だって億劫な事はしたくないし。日々しなければならないことだし、大人にも子供にもわかりやすく、疑問の生じない明快なシステムが一番である。

それにしてもこの人は面白いことにお片づけをある種の「道」だととらえている節がある。お片づけには人生で必要なことが沢山詰まっている、と言う。まるで人間国宝かなんかがその作業を通じて精進を重ねているようだ。

僕だって学生の頃にやっていたスポーツやサークルで当然その上達のために練習しながらも、いろいろ苦労があって成長があった、と思う。現在はそれらのスポーツなんかからは離れてしまったが、そこで得た様々な経験はプラスになっている、はずだ。

そしてそんな気持ちになるのはのめりこんだものに対してのみ。中途半端に取り組んだものから得られない。おそらく著者は片付けが心底好きで、片付けのことを深く考えているのではないか。そんな「片づけ愛」が感じられる。あ、普通にノウハウ本としても面白いよ。

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