『残り97%の脳の使い方 苫米地 英人』は怪しい世界の魔術的一冊

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是非使いたいんだけど

なんとも魅力的なタイトルに惹かれて読み始めた。……なんだけど残り97%の使い方は結局書いてあった? 僕が聴き逃したか、難しすぎて理解できなかったのか。是非使いたいんだけど、ここまで含めて戦略的な作りになってる気もする。

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魔術師的な怪しさ

最初の頃の話で否が応でも期待が高まった。脳みその信号伝達が3値しか区別できない人が100値使えるようになったら、残り97%を使えることになる、みたいな。なるほど納得。白、灰色、黒の画像が100諧調になったらそりゃ凄そうだ。訓練すればRGB255諧調も可能かも?

ということでワクワクしながら聴いてたんだけど、あんまり具体的な話が出てこない。途中、心理学的な話とか、相手を支配する方法とか出てきて、そういうのも面白いだけど、お預け状態な雰囲気が強かった。

これはつまり書かれている方法を実践して見せているんじゃね? 相手の予想を裏切る行動でもって読者の隙を作る。僕なんかは続きが気になって仕方なく、残り97%を使う方法を聞くまでずっと隙だらけなわけだ。

お陰でアメリカ自己啓発本のカラクリがひとつわかった気がする。僕がロバート・キヨサキにハマった理由がまさにこれな予感。魅力的な話を提示して中々具体例がないもんだから、何冊も読む羽目になったわけだよ。まあ、勉強になったから良いんだけどね。

アメリカ自己啓発本には具体例があまり書かれていない。その理由は日本の読者にアメリカの具体例を示してもしょうがなからって思ってるんだけど、心理学的な手法でもあるのかもしれない。購買意欲を掻き立てるわけだ。……本当に具体例があるかどうかはこの際どうでも良いのだよ。

ぶっちゃけこれらはありふれた手法だ。テレビ番組のCM前なんて全部そうだよね。答えは90秒後!とか、大物ゲスト登場!?が気になってチャンネルを変えない。引っ張っといて答え発表の扱いがCM時間よりも短いなんてのはザラだし、大物ゲストは次回予告だったりする。

なんだけど、よく使われる身近な手法だからこそ解説してくれるとありがたい。だいたい世の中そんなもんで、みんなが知ってる常識を理論的、体系的に示すのが学問のスタートだったりする。ニュートンとかの偉人だってそうだし。

問題は何とも怪しいことじゃね? どうもこの手の心理学には「他人を支配」とか、「禁断の」とか、「ズルい」とか、ムー的な文言が飛び交う。もうちょっと普通に言えないのかね? 日の当たるメインストリートとはかけ離れた、路地裏的雰囲気が漂う。

この辺りが何とも魔術っぽい。悪い魔法使いもいれば、良い魔法使いもいる。しかしおしなべて怪しい、みたいな。もちろんその中にはインチキもあったし、化学とか薬学の基礎となった物もあるけど、最初は混沌としたごった煮状態だった、って感じじゃね?

ということでこれら心理学的自己啓発も日の目を浴びてメインストリートを歩くのか、それとも怪しいままなのか、メッチャ気になる。すでに脚光を浴びてる技術なのに、僕が不勉強で知らないってだけかもだけど。

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進化を待たずして滅びそう

最初に気になった97%の話に戻る。感度を上げれば良いってことだよね。なんだけどこの本では盲点を無くす方の話が多い。画像で考えると97%の話は諧調とか解像度、盲点の話は見えていなかった部分を見るわけだから範囲拡張とかフィルタ的な感じ? 個人的にイメージがちょっと違う。

だとすると脳が楽をしなければ良くね?ってのが気になる。一番最初の緊張した状況では感度が高く盲点もない、多分。おそらくそこから慣れていって、脳が楽をするから感度が低くなるし、盲点やら色眼鏡もできてくる。そんな風に考えてます。

画像とか動画の圧縮みたいな感じなんじゃね? 処理を簡単にするために同じ部分をいちいち記憶せず、差分を考える、みたいな。その分だけ楽になるから高速&省エネになりそう。反面、劣化が生じて大事な詳細を見落とす可能性があるわけだ。

おそらく、進化の過程でそういう脳の処理を獲得したのかも。あるいは初期の脳みそで処理するにはそうせざるを得なかったのかも。だとすると現代の脳環境だったら圧縮しなくても良い、あるいはもうちょっと圧縮度合いを抑えることができるのでは?

あんまり圧縮しないで情報を扱えば、エネルギー消費がすごそうな予感。でも現代はカロリー過多が問題になるくらいだから、むしろ消費していただきたいくらいだ。無圧縮情報を扱うことで脳をフル回転させて、かつダイエットにでもなれば一石二鳥だよね。

誰かそういう薬作ってくれないかね? 一時的に圧縮度合いを抑える薬。子供の頃、その情報に最初に接した時みたいな無圧縮の衝撃とか感動を味わえるようになる薬。きっと売れるよ。お金の匂いがぷんぷんする。

あるいは人類がこの先数万年生き続ければ、無圧縮の方向に進化するのかもしれない。脳みそがある程度容積あって、エネルギー供給も十分なら、圧縮しない脳みそが優性になる予感。まあ、その前に滅びるか、もっとアサッテの方向に社会が進みそうだけど。

ひょっとしてこの本に書いてある盲点を外す方法とか、あるいは瞑想が目指すあるがままとかは似たようなものなのかもしれない。色眼鏡をかけずに接すれば、無圧縮の情報に触れて感度もアップしそうな予感。

などと今日も余計なことをあれこれ考えて満足。それにしても難しかった。もっと先が気になって、セミナーとかに申し込んじゃう人もいるんだろうなー、とか思える一冊でした。さらに蛇足だけど、デジタル音声ってのが怪しくてまた雰囲気出てましたよ。

↓緊張と変化を好むと、この話のトレードオフとははす向かいになる予感。

↓脳みそが喜びそうな刺激的冒険話。

↓狭い世界で圧縮しすぎると何が正しいかわかんなくなりそうで怖い。

↓風の歌は聞こえるけど風は吹いてないっぽい。

↓強くなけりゃいけないってわかっててもどうしようもない。

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