*「晴耕雨読その他いろいろ」(2022/11/11)投稿記事の修正転載です
「三匹のかいじゅう 椎名 誠」はしみじみと心の奥の方がほろ苦くなる本なのであった(2022/11/11)
ストーリーがじじバカ日記でテーマが子育て孫育て。キャラクターは怪獣。椎名誠は好きだ。好きなんだけど……、と語尾が濁る本。
相変わらずほろ苦い
椎名誠をはじめて読んだのは高校入学直前のころだ。春から通うことになる学校の先輩の本だよ、と父に紹介された。『哀愁の街に霧が降るのだ』めちゃくちゃハマったね。続編も読んだし、SFにも手を出した。『岳物語』ももちろん知ってる。
楽しい共同生活、ドタバタ社会人、怪しげ泥濘世界、しみじみ私小説、独特エッセイ、すべて好きだ。よくツイッターなんかで好きな本を十冊紹介するというのがあるが、『哀愁の街に霧が降るのだ』は確実に入る。ということで好きなんだよ。
好きなんだけど、その分悲しかったりする。椎名誠作の映画を酷評した評論番組が圧力かけられて打ち切りになった、って話を聞いたときは悲しかった。本の雑誌だって最初はそんな立場だったんじゃないの? 権力に追従せず言いたいことを言うスタンスを貫くため、出版社の広告を取らなかったのでは?
そんなことがあってしばらく椎名誠から離れていた。それでも久しぶりに読みたくなってエッセイを読んだら、今度は「一方通行を逆走して文句を言われた。そこまで言う必要はないんじゃないか」的な話が出てきた。なんだかなー、と思ってまたしばらく読む気なくなった。
でも久しぶりに読んで、やっぱり面白いなーとか思ってたら今回は駐車違反ですか……。沖縄のあたりで、「道路の邪魔にならないところに車を停め」的な記述を見たときからヤバヤバ感はあったんだけどね。
気のいい昭和の爺さん
ということで椎名誠は千葉で過ごした血とバラと必殺技の日々から基本変わっていないんだと思う。そこが魅力なんだろうけどね。この本でも色々な意見が出てくるが立場が違ったら逆のこと言いそうだな、って気がする。狭い道路が危ないから一方通行にしろ、ってのは納得。でも逆走するでしょ?
ブランコが危ないってのも一理あるけど子供が怪我したからだよね。怪我させた立場だったら親はちゃんと見てろ、とか言いそう。無関係だったら子供は自由が一番、多少危なくてもそこから学ぶこともある、的な立場をとりそうじゃね?
その他、緑のおばさんやカーナビにたいして文句をつけまくる。でもすべて気分と立場がもとになっていて筋はどこにあるのだろうかと気になる。
いろいろ偉そうに文句を書いたが正直これが人間の本質だと思う。考え方は立場や状況によって作られる。昔々の偉い哲学者だって奴隷賛成派だし、偉大な人格者も戦争バンザイだったりした。今からでは考えられないようなことも昔は当たり前だった。立場で考え方が決まるのだよ。
そんな人間の本質を見せつけられるようでやっぱりほろ苦くなる。それでも変わらないこと、たくさんの人が共感できることもある。そのうちのひとつが子供のかわいらしさ、面白さ、成長の尊さなんかだろう。変な言い回しとかかわいくて面白いよね。その部分は全面的に賛成。
ということで今回もやっぱり好きだけど語尾が濁る、ほろ苦い話。面白いし考えさせれるから良い本ですよ。良い本なんだけどね……。
↓主体性、っていうか筋が通ってるべきでは?

↓一見相反することが両立する場合があるから面白い。

↓子供はかわいいから強い。その点大人は……。




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