*「晴耕雨読その他いろいろ」(2022/6/24)投稿記事の修正転載です
「鳴かずのカッコウ 手嶋 龍一」が超ジミーに目的を達成している(2022/6/24)
ストーリーが超ジミースパイ小説でテーマが超ジミー。何かが起きたか、っていうと何も起きてない。でもそれはつまり超ジミースパイの目指すところなのかもしれない。
地域密着型スパイ
スパイっていうとアレだ。「今回の任務はニューヨーク」とかテープから流れてくるイメージ。当然再生後のテープは燃える。主人公はニューヨークまで行く。普段住んでいないところだから旅行中の人って設定になる。この場合ずっと任務中なのだからある意味ラクだ。
でも地域密着型はそうではない。任務を果たす同じ土地でプライベートもすごす。これってかなりキツイよね。公私の切り分けができない。休日であっても気が休まらない。鈴木と名乗って標的に接近して、居酒屋でばったり会って佐藤と呼ばれている、なんてことになったら終わりだ。
その最たるものが結婚っぽい。もし遠く離れた土地でしか任務につかないのなら、出張の多いビジネスマンでOK。でも近所で偽装するならとんでもなく制約条件は多くなる。こういうのって、本物はどうしてるんだろうね。
たとえば東京で調査官をやるなら隣県に住んだ方が良さそうだ。ターゲットとの予期せぬ遭遇確率はぐっと減るだろう。神戸はどうだか知らないが、仙台とかだと大変そう。地方都市はけっこう狭いので思わぬところで会ってしまうかも。
何もないのが一番
大変だとは言っても、無くてはならない職業だと思う。調査官の苦労を察して悪者は手加減してくれないし、逆に痛いところをついてきそう。
食品を偽装する悪徳業者は絶えない。怪しげな思想の集団も次々あらわれる。外国だって日本をそっとしておいてはくれない。スパイ天国ってくらいだから、むしろ大喜びで暴れる。そんな大切な職業に陽の光を当てるには日本が大変な目に会うしかなくね?
世の中にはいろいろな利害があって、制限を嫌う人たちも多い。実際に日本を害そうと思っているとんでもない連中もいれば、なんとなく気に入らないって人、付き合いでしかたなく、など様々。そのせめぎ合いが現状を作っている。
これを打破するためには何か大きな事件が起こって、あ、これはヤバい、とみんなが気づかなければならない。なんだけど、それはおそらく超ジミーの目指すところではない。超ジミーなんだから目立つのはNG。大きな事件が起こるなどもってのほか。
当然のごとく未然に防ぐ。自分たちの超ジミーさ加減に首を傾げながら、自分たちが超ジミーでいられるよう四苦八苦する。なんとも不思議な存在だ。それってやっぱり平和ってことで、良いことなんだと思う。
スパイが大活躍して表舞台にまで噂がおよぶってのはヤバい世界なんじゃね? 事件が起こらないように目を光らせ、今日も何も起こらなかったと胸をなでおろす。まさに縁の下の力持ち。これってサラリーマンの生活みたいだ。仕事がとどこおりなく進む状態、何事もない平穏無事を願う。
超ジミーだけどそれでOK。平和ボケなのも怖いけどガンガン戦争やるよりずっとマシ。そんなことを考えました。普通のスパイものにありがちな派手さがいっさいない、あんまり類を見ない面白小説ですよ。
↓夢中になれるものを見付けることができたら、それはそれで幸せだよね。

↓わかっちゃいるけどやめられない。勝手に考える一大テーマです。

↓そろそろ夏休みが終わってしまう……。


コメント