*「晴耕雨読その他いろいろ」2016/5/22投稿記事の修正転載です
非常識家族 曽野綾子(2016/5/22)
・非常識な家族が独特な見解を示す
・短編に分かれており様々な事柄が扱われる
・斜に構えた雰囲気が三島由紀夫のレター教室みたい
祖父も父も大学の先生、というエリート家族の話。世の中にはしっかりしたエリート家族がいて常識的な生活を送っているのかもしれないが、この話の家族は違う。そもそも世間一般でいう高学歴の人間には変わり者も多く非常識である、という考えに基づいている。
確かにそういう傾向がある。学生の頃にいた頭が良い先生は大抵どこか変わり者であり変な人が多かった。
ある先生はものすごく賢いのだが合理的過ぎた。自分の持っているバイクを少しでも高く中古車屋に売ろうと思い、2か所に見積もりに来てもらう約束をしたのだとか。こう書くと普通の合い見積もりだがこの先生の凄いところは同時刻に来てもらったところ。
まず業者Aに値段を提示してもらい、ちょっと待ってもらう。次に、業者Aはこう言ってますが、どうですか?と業者Bに値段を提示してもらい、ちょっと待ってもらう。今度は、業者Bはこういってますが、どうですか?と業者Aに値段を提示してもらい、ちょっと待ってもらう。
以下延々と続く。これを同じ場所で、業者A、Bそれぞれとの交渉を目の前でおこなったのだから凄い。当然最初提示された値段よりもだいぶ高く買ってもらえたそうだ。合理的なのだが常識的かというとなかなかできない。かなり精神的に強くないとこの状況は耐えられない。
別の先生も頭が良いのだが常識的な普通人なら知っていることを知らない、というか知ろうとしない、そもそも興味を持たない変わり者だった。
この本にもこんな感じの変わり者がたくさん出てくる。一話完結の短い話がたくさんあってその中で世の中の常識を覆すような変わった見解が述べられる。親子の事についてやお金のことについて等。この辺りは何だかエッセイみたいな雰囲気もある。
とくに面白いのは斜に構えた雰囲気のちょいワル爺さん。元大学教授だけあって賢いが変わり者、というかひねくれ者。電車の中で気に入らない人にははっきり注意して、あるいは聞こえるように皮肉を言って、とやりたい放題。
で、結局自分がひどい目にあったりする辺りが愛嬌があって憎めない、そんな感じの好人物。何となく三島由紀夫のレター教室とか不道徳教養講座を思い出してしまった。最近の話なのだが登場人物の年齢が高いからだろうか、昔っぽく感じるし、ひねくれ具合が似ている。
残念なのはそのまま短編で終わってしまったこと。それこそレター教室みたいに最初は一話完結の短編、その内一つ一つの話が係わって大きな一つの話を作る、っていうのが読みたかった。
そう感じたのはおそらく登場人物が魅力的でありこのメンバーで書かれるもっとボリュームのある話が読みたいと思ったからだろう。常識から外れた非常識な見解が気付きを与えてくれる、ひねくれ者向けの面白い小説だ。
↓常識を疑うことは重要だよね。
↓常識通りにはいかないぐだぐだな旅行でした。
↓常識にとらわれず、やりたいことをやってます。





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