*「晴耕雨読その他いろいろ」(2018/4/6)投稿記事の修正転載です
「秋田さんの卵 伊藤 たかみ」は僕にとってピントが調度良い(2018/4/6)
ストーリーはオッサンロードムービーと入院患者日常物語。テーマは違和感。派手さとか爽やかさとかは一切なく全体的に地味で重苦しい雰囲気。本当は晴れてるんだけど編集で暗くしました的な、まるで日本映画を見ているような、それこそ違和感のある暗さが漂う。
さらに言いたいことが明確ではない。あー、こういうこと言いたいのかな? みたいなもどかしさ。それがとても小説っぽくて良かった。
おそらく昔の僕なら、暗い!よく分からない!で読むのを止めてしまっていただろう。でも今の僕には好ましく感じた。大人になってシイタケをやたら美味しく感じるようになった、みたいな。
なんで小説には描写が必要か。僕にはさっぱり分からない。でもまあ明確さを避けるため? と今のところ思っている。小説の面白さで重要なのは共感、多分。でもって共感を呼び起こすには漠然としていた方が良いんじゃね?
例えば「その時主人公はこう感じた」とかだとあまりにも明示されてしまい共感の対象が限定される。同じように感じた人は膝を打つがそうでない人が多いのは困る。
なので「こう感じた」の部分を直接言わずに比喩でぼかす。すると受け取る側が勝手に自分に合うようにフィルターを通し共感しやすくなる、ような気がする。だから主人公の気持ちを暗喩する形で描写が必要なのかなー、と思ってる。
でもって現実でもそういう事は多く、自分の気持ちよりどうでも良い事を記憶していたりする。そのどうでも良い事を丁寧に描写すれば、直接的な言葉で心情を表すよりもずっと強い共感を多くの人に抱かせることができるのでは。
おそらくその加減はもの凄く難しい。直接的過ぎれば範囲が限定され、ぼかし過ぎればわけが分からなくなる。眼鏡のレンズみたいに度が強ければ気持ち悪くなり、度が弱ければ役に立たない。
だから人によって評価は分かれるし年齢によっても変わったりする。この間も同じ作者の本を好ましいと思ったし、どうやら今の僕に合ったピントっぽい。
違和感って興味深いよねー。確かにあれは気になるとわけが分からなくなる。でも全てを気にするわけには行かないし取捨選択が難しい。などと取りあえず中身にも触れてみる。そんな感じで面白い本でした。地味だけど色々考えてしまう話。日本映画の暗い感じが好きな人におススメ。
↓AIのメリット・デメリットがアンバランスじゃね?

↓みんな大好きダメ大人ばっかりですよ。

↓残念ながら僕の子どもたちには刺さらなかった……。



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