『たまさか人形堂物語 津原 泰水』はラブドールの印象が強烈

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*「晴耕雨読その他いろいろ」2016/8/13投稿記事の修正転載です

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たまさか人形堂物語 津原泰水(2016/8/13)

・日常ミステリー風かと思ったら違う
・ラブドールの存在がスパイス効きすぎ
梅酒のような話

何となく人形店を継ぐことになった大人カワイイ系女子とクールで賢いけどちょっとイジワルな年下イケメンとまったくもって謎の正統派職人肌オッサンと現実的には不思議な取り合わせで小説だとありそうな取り合わせのお話。

最初の印象は主人公と年下イケメンのコンビでよくある日常ミステリーか、と思っていた。実際にしばらくそんな感じでまあ良くわからない状態から丸く収まる話が続く。

唯一の解を探す昔のミステリーと異なり提示された少ない手がかりからは沢山の可能性が残る。で、その中で最も作者が気に入った解を正しいとする。読者がそれを良しとするかダメでしょとするかで評価が分かれる、というよくあるパターン。

しかしよくあるパターンだなー、なんて印象を突如吹き飛ばす恐ろしい物体が登場する…‥。何とラブドールが出てきてしまったのだ。まさかこんなまじめな話でダッチワイフを登場させるとは作者の思い切りが凄い。

皆何となく存在は知っている。確かにあれも人形だ。昔の漫画なんかだと粗末な作りがバカにされたりして、テレビやネットで見かける最近のは姿かたちがビックリするくらい人間に似ているとか、値段が恐ろしく高いとか、それくらいの知識しかない。

でも何となくタブーな話題だ。元々性に関する話題は日常あまり口にするものじゃないがそこからさらにひとひねりした話題。その上この小説ではもうひとひねりしている。読者ドン引きの可能性がある恐ろしい題材だ。

でも考えてみれば人形愛の話である。普通の人形への愛が家族への愛っぽいのに対しラブドールは恋人への愛、なのだろうか。その辺りの明確な線引きは? 家族への愛と恋人への愛はどう違うの? 等と考え進めると訳がわからなくなる。

おそらくこれは昔からある疑問なのだろうが、ひょっとしたら人形を介することで客観的にとらえる事ができカンタンに答える事が可能なのかもしれない。‥…人形を介して理解したが最後、普通の世界に戻れなくなる可能性が恐ろしいが。

この手の新しい試みは必ず批判にさらされる。伝統ある人形劇だって由緒正しい奉納神事を人形にやらせるとは何事か!と怒った爺さんがいただろうし、プププwww何だあれ?人間見えてるしwwwとバカにされただろう。

さらに昔々には神聖なる生贄を泥人形で代用するとは言語道断! と怒ったオッサンがいただろうし、うはwww造形奇抜過ぎwwwと笑われただろう。

それでも価値があると判断した人間が多く続けられてきたから世間に認められたのだ。もちろんその影には消えていったものもある。日常使いの粗末な人形は使われなくなり消えていったものが沢山あるとか。

さて、ラブドールは一体どっちか。いつまでたっても由緒正しい伝統にはならず、しかし消えることもなく、ひっそりと受け継がれる気がする。

あまりにもラブドールの印象が強いがその他様々な人形が話題に上がる。ヌイグルミ、ラブドール、西洋人形、ラブドール、日本人形、ラブドール、操り人形、ラブドール‥…(*そんなに出ない)。普通1点集中で深く掘り下げていきそうなものだが色々な人形が出てきて面白い。

また登場人物も個性的で接点少なそうだが奇妙に波長が合ったような不思議な融合を果たしている。途中で梅酒の話が出てくるが話題も登場人物も梅酒みたいだった。合わないんじゃない?と思いながらも少なくとも僕にとっては面白く読める楽しい組み合わせだった。

ちょっと気になったのはシリアスさの違いか。途中かなりシリアスな話があったにもかかわらず、他の点では随分と甘かったりする。甘い話が好きな人もシリアスな話が好きな人も楽しめる、となるか、どっちも中途半端でキライ、となるか微妙なところだ。

僕としてはシリアスな話担当と甘い話担当とラブドール担当に分かれていると考えて納得したが。1話限りの割にラブドールの印象が強烈だったがその他の話も十分面白い。一筋縄ではいかない変な物大好きな人におススメ。

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