『太陽はひとりぼっち 鈴木 るりか』が猛スピードであたしンち

02book-260516sun0 小説
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ドキッ! 変人だらけのひとりぼっち大会 ホロリもあるよ

ストーリーが「ドキッ! 変人だらけのひとりぼっち大会 ホロリもあるよ」で、テーマが太陽。キャラクターが猛スピードであたしンち。そのうち読もうと思ってでも忘れてて、的な。……時は来た、見せてもらおうではないか! 中学生デビューを果たした天才の実力とやらを!

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たしかに天才でした

めっちゃ面白かった。こりゃ参った。たしかに天才だ。まずこの本は変人小説に分類される、と思う。強烈な個性のキャラクター小説は最近の主流、かつ大昔から続く普遍的な面白パターンだ。まずはキャラを立てろ、って若桜木先生も言ってた気がする。

公募スクール講座「落選理由を探る」で謎が解けた気になった
公募ガイドのコラム「若桜木虔の作家デビューの裏技、教えます!」が面白くて勉強になる、公募スクール「落選理由を探る」をお願いした結果目からウロコって話です。若桜木先生のコラムもスクールもリンク切れなので、そのうち記事自体なくなるかもな予感。

ミステリー小説がずっと人気なのもキャラクターが立ちやすいからだと思ってます。偉大なるシャーロックホームズパイセンのお陰で、変人+凡人というスタイルが確立しており、キャラクター小説になりやすい。その他あらゆるジャンルで変人の需要は高い。

じゃあこの本の変人は、っていうとダントツで母。次点で娘。3つあるお話の中で最初の1話は母が変人、娘が凡人ポジションであり、大家さんとか祖母とかニートとか脇役も変人。残り2話では娘が変人、それぞれの主人公が凡人、……と見せかけてこの人たちもそれぞれかなり変。

ということで変人度合いに差こそあるものの、全体的に「ドキッ! 変人だらけのひとりぼっち大会 ホロリもあるよ」みたいになってる。変人には変人なりにわけがあったり、過去があったり、色々あるのですよ、的な雰囲気。

母親が変人、となると思い出すのは小説だと『猛スピードで母は 長嶋 有』、マンガだと『あたしンち けら えいこ』。その他『レペゼン母 宇野 碧』もかなりのパワフル変人だった気がする。特に前2者は変人キャラクターが際立つ。

『猛スピードで母は 長嶋 有』は制御不能などうしようもない話
『猛スピードで母は 長嶋 有』はストーリーが猛烈女性物語でテーマはどうしようもない話子供編。世の中にはどうしようもない事が多い。相手としては運命ってのが一番格好良い。時代も捨てがたい。あとは社会とか権力とか色々。子供の場合ここに親が加わる。
「レペゼン母 宇野 碧」がめっちゃ面白くて残念|噛むほど味が出る
「レペゼン母 宇野 碧」がめっちゃ面白くて残念。面白いんだけど今風ではない。噛んだら味が出るタイプ。もちろんこの本単体の問題ではなく小説全体の問題だと思う。噛むまでもなく味が出る小説⇒噛んで味がある小説を書くのが良さげじゃね?

母親の変人さを前面に押し出し大いに面白がらせた後、油断してガードが下がった読者を人情噺で打ちのめす。これはもう必勝パターンのひとつだろう。さらにこの小説の場合、母親の変人さはかなりのもの、読んでる側としてはデンプシーロール並みに翻弄される。

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イマイチ古い&パンチが足りない

ということで僕は十二分に楽しめました。母親の言動、娘の対応が面白くガードが完全に下がった。ただしここでちょっと気になったことがいくつか。まず全体に漂う昭和っぽさだ。やり取りや考え方がイマイチ古い。個人的にはドストライクなんだけど一般的にはどうよ?

著者は2003年、平成15年生まれらしい、……マジか、めっちゃ最近じゃん。ともかく平成ど真ん中。最近と違って「昭和ってメロいよねー」なんて再評価もなく、ただただ見下されていただろう時代。それなのになぜ昭和の匂いが漂うのか?

おそらくだけど、この小説ほどではないにしろ親、あるいは環境がちょっと変だったんだと思う。でもって本人も変わり者になった、と。そうでもない限り、小学生が締め切り当日に半日で小説完成させたり、3年連続で賞取ったりしなくね?

いずれにせよ平成も終わりを迎えるころになって小説に興味を持つ小学生、それだけならまだしも自分で書いちゃう小学生、さらにはパパっと原稿用紙を調達して半日で11枚埋めちゃう小学生。これは変人であり、古風な要素を併せ持つに違いない。それで昭和っぽいんだと思う。

それともうひとつ気になったのはパンチの物足りなさ。ドストライクな母娘のやり取りによって僕のガードは十分下がっていた。シリアス路線の存在は友達の家に遊びに行った瞬間に匂わされていた。後はもうメガトンパンチを食らうのみである。……しかしちょっと弱い。

カタルシス的なものはあった。あったんだけど太陽とかひとりぼっちとか変人とか関係ない。……関係あるのかもしれないけど、そういうのじゃない。祖母とのやりとりも、ニートのあれこれもイマイチ釈然としない。合わせ技一本、判定勝負みたいな雰囲気がある。

なんかまだ続きがあるのかなー、みたいな感じ。こちらとしてはキレイに強烈な一発を食らって完全ノックアウトされたかった気分。その後の小説で書かれているのかもしれないけど、年齢的に書ききる自信がなく温存した可能性もある。でもまあそれもまた戦略だよね。

『成瀬は天下を取りにいく 宮島 未奈』のチャレンジ精神に戦慄
『成瀬は天下を取りにいく 宮島 未奈』はストーリーが変人大冒険で、テーマがチャレンジ、キャラクターは変人。絶対手に入れたいものの存在が執念の強さを生み出すんじゃね?著者にとっての小説がそうだっのでは、なんて思うんだけど、どうだろうね。

そう考えるとちょっと前に読んで印象に残った変人小説『成瀬は天下を取りにいく 宮島 未奈』を思い出す。これは古っぽくもないし、パンチ力も十分。この人の方がずっと昭和に近いんだけどどうしてか? それはチャレンジ精神の差だと思う。

普通は若い人の方がハングリーだったりしそうだけど、どうやらそうとも限らないらしい。なにしろ歳を取ればタイムアップが近くなり、温存している暇はなくなる。自分の現状に満足していない大人は手負いの獣みたいにハングリーなのかも。その差じゃね?

それにしたってこの本の出版から7年、今年は書けないかも⇒やっぱり書く、なんてやり取りもあったそうだし、どう考えても著者は成長しているだろう。またそのうち、この人の書いた本を読んでみようかと思います。

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