『R帝国 中村 文則』の理解できない不思議な面白さにザワつく

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*「晴耕雨読その他いろいろ」2023/11/3投稿記事の修正転載です

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「R帝国 中村 文則」でザワつく(2023/11/3)

ストーリーが架空帝国物語でテーマが繰り返し。主人公は正義漢。マインドマップを書こう書こうと思いつついつの間にやら読み終えていました。

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不思議な感覚

もともと中村文則は気になっている。まっさきに気になったのは僕と同じ年齢、って点だけど、それ以外に不思議と気になる。もちろん面白いのだが、どこら辺が面白のか理解できず、なのに面白いと思うところが不思議な感覚の原因だと思う。

僕には見えない面白さがあって、見えないのに面白いと思う。素通りできない何かを感じる。気分がザワつく、的なものがある。

たとえば以前読んだ「銃」はとても面白かった。しかし面白ポイントは最後のシーンであり、途中では微妙な部分も多かった。僕の拙い知識によれば新人賞に応募された作品は最初の数ページで面白くなければならない。後々どんなに素晴らしくても出だしが平凡なら落とされる。

上記の基準に従うと「銃」は面白い小説だが日の目を見なかったはずだ。それとも20年前は違ったの? だとすれば僕は昔の自分にとっとと小説書けと言いたい。けどまあ、おそらくそういうことじゃないのだよ。

中村文則には何かがある。その何かが、わりとありそうな話を面白くしてるんじゃね? って思いザワつくのだ。だとすれば僕は片っ端から中村文則の小説を読みザワつきの正体を調べるべき。なんだけどこの人の本は分厚いものが多い。今回も教団Xを諦めてこちらにしました。

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やっぱりザワつく

今回は最初から戦争シーンなのでこの点では以前と違う。平凡なシーンだと読者が逃げますよ、だから最初から派手なシーンで目を引きましょう、というセオリー通り。しかし、やったらダメと言われている手法がいくつか出てくるのも事実。

ちょっとした言葉づかいもそうだけどいちばん気になったのは視点。途中で視点人物からシームレスに視点が移ることがある。これは小説スクールとかだと一発アウトと言われる禁じ手だよね? 最初から神様視点だったらまだしも、途中でいきなり視点移動はヤバい。

これはかなりアニメ的、漫画的。アニメや漫画だと絵や吹き出しがあるぶん視点がわかりやすい。いっぽう小説でやると混乱の元、ってことだと思っている。そんな調子で気になる点がありつつも面白かったのも事実ですよ。

たとえば、同じフレーズが何度も出てくる。違和感、繰り返し、霧(白とか灰色)、幸福な誰か、とか。それによって言いたいことを強調し、読者に既視感や共感を与えている、と思う。王道の面白手法だ。

でも、そういうことじゃないのだよ。たぶん何かもっと根本的なところに面白ポイントがある気がする。それは僕が村上春樹を面白いと思う理由にも通じている気がする。吉田修一とはちょっと違う気がするけど根っこは同じかもしれない。

そもそも小説を面白いと感じるのはなんでなんだっけ? その点が不明確な気がしてきた。面白いうえにザワつく、でもって気づきを与えてくれる。たいへん勉強になる小説でした。

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