「職業としての小説家 村上 春樹」で新しい勘違いゲット

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*「晴耕雨読その他いろいろ」2024/9/13投稿記事の修正転載です

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「職業としての小説家 村上 春樹」で新しい勘違いゲット(2024/9/13)

僕は今まで勘違いしていたみたい、っていう新しい勘違いをゲット。もちろん正解なんてわかんないけど古い勘違いをあらためて新しい勘違いを採用します。

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テーマ要素計測不能

純文学とエンターテイメントの違いは? 正統文学的に色々解釈あるんだろうけど僕は知らない。ということで最初の図のようなイメージを持っています。

小説の要素としてテーマとストーリーに分けテーマ多めが純文学、ストーリー多めがエンタメ。ちなみにテーマのみだとエッセイ、ストーリーのみだとラノベ。こんなふうに勝手に妄想。

以前読んだ本には全く異なる解釈が書いてあって、新しい試みに挑戦するのが純文学、そうでもないのがエンタメ、らしい。科学で言うところの研究と開発の関係みたいでこの考え方も気に入ってます。

僕はずっと、村上春樹の特異性は最初の図における位置にあると思ってた。テーマとストーリーの割合が半々くらいであって、偏りがないんじゃね? なんて。この絶妙割合がテーマ好きもストーリー好きも両方取り込み、どっちからも支持される。少なくとも僕にはドストライク。

一方でプロの評論家にとっては評価しづらい。純文学が守備範囲の人もエンタメが守備範囲の人も自分の所に来たのかわかりにくい。野球で言うところのお見合い状態になって取りこぼす。これこそが村上春樹の面白さ、ユニークさ、叩かれ理由だと思ってました。

なんだけどこの本を読んで「説明しない」という表現がやけに気になった。最初の図におけるテーマ要素を「説明しない」な気がする。

普通は頑張って説明する。ある人はもうタイトルにしちゃう。別の人は匂わすだけにとどめる。前者の方が親切だけどあからさまだとちょっと萎える。読む側としては明示されてるより自分で見つけたほうが楽しいし。

いずれにせよわかるように説明する。だってテーマが無ければ小説としてイマイチ。逆にそこを攻めて大成功したライトノベルも凄いけど。

村上春樹は「説明しない」。これは「ない」とは大違いだ。しかし、外から見たら区別がつかない。

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結婚詐欺師

椎名誠の本にポケットに手を突っ込んでケンカする不良の話が出てくる。何か隠し持っていると思わせるペテン師的テクニックらしい。武器を持っていたら相手に見せつけたい。北米イロコイインディアンもそうでしょ? 普通の小説家は武器を誇示したりチラ見せでビビらせたりする。

でも村上春樹はポケットに手を突っ込んだまま。叩きのめされる側としては武器があったのかなかったのか、判断を委ねられる。

ある人は勝手に想像しアレは凄い武器だったと言う。別の人はただのハッタリだと言う。結局どっちが正解かわかんないしどっちでも良いのだよ。面白ければ。

「説明しない」って表現も良い。つまり「ある」ってことだ。でも本人がポケットに手を突っ込んだまま言うもんだから真実は闇の中、ポケットの中? そこがまたミステリアスで良くね?

村上春樹を結婚詐欺師と評した人がいるらしい。言ったほうは悪意があっただろうし、言われたほうも良い気がしていないっぽい。でも考えようによっては悪くない的確な表現だと思う。何より武器を見せてくれないんだから詐欺師っぽいのはしょうがない。

さらに言えば、結婚はたいてい詐欺。もちろん結婚前にお金を持って逃げたら犯罪だけど、多かれ少なかれ配偶者に不満は募る。実際離婚する人もたくさんいる。

富めるときも病めるときも、って言うけど無理じゃね? 貧乏になったらギスギスするし、体調が悪ければちょっとしたことが気に障る。それでもどうにかこうにか別れないで一緒にいる。これはある意味立派な努力を重ねた結婚詐欺師だ。

結婚生活では全てをさらけ出したりしない。気になった細かな点をいちいち攻めてもしょうがないし、自分だって完璧超人じゃないし。

ポケットの中を見せない以上、村上春樹は詐欺師と言われてもしょうがないと思う。むしろ、そういうスタイルだと胸を張って良くね? こんなに長いこと人気が衰えず読者を楽しませているんだから凄腕の詐欺師だ。

いつまでも相手を楽しませ、騙されたことにすら気付かせない結婚詐欺師は凄い。楽しませてくれない正直者よりずっと良くね? もちろん僕も快く騙されます。

本当に騙されているのかどうか、ポケットの中身があるのかないのか、凄いのかショボいのか、それは誰にもわからない。わからないけど僕はあると思ってる。

ところで、自己顕示欲が強い僕は説明したがり人間だ。村上春樹を見習ってもうちょっと謎に包まれてみようと思いました。面白くて妄想が捗って、しかもためになる良本。マジおすすめ。

↓知ったこと、考えたことは説明したくなる。でもぐっとこらえる人間を目指したい。

↓説明したがり、喋りたがりが勢い余って暴走中。

↓一回説明したものは意地でも使いたいって貧乏根性も問題……。

↓明らかに純文学。なぜなら実験的だから(と勝手に思ってる)。

↓やっぱり結婚詐欺師って褒め言葉じゃね?

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