『スーツケースの半分は 近藤 史恵』衝動的と言うよりむしろ発作的

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「晴耕雨読その他いろいろ」2024/4/5投稿記事の修正転載です

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「スーツケースの半分は 近藤 史恵」は衝動的と言うよりはむしろ発作的な話(2024/4/5)

ストーリーが女子旅あれこれでテーマが発作、主人公は女子。ゆるふわスイーツ(笑)女子旅、……の雰囲気をまとったオオカミ。衝動って怖いよねー。

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むしろ発作的

衝動をテーマにした短編集であって旅方向から対象を見ている。モチーフってやつ? 衝動と言われると椎名誠を思い出す。衝動というよりはむしろ発作的。この小説も発作的だと思う。

衝動は文字通り突き動かされるイメージがある。発作は繰り返すような気がするので、単発なら衝動のほうが良さげ。でもやっぱり発作なのですよ。たぶん切迫感として発作が近い。

衝動は外部からの力っぽい。何かに押されて、の何かが自分の本能かもしれないけど。衝動を無視しても死なない。そうじゃなくて、無視したら死ぬタイプもある。この手の命に係わることは衝動だとちょっと弱い。お話の中にも書いてあるけど食欲の方が衝動よりしっくりくる。

食欲とか渇望とかは命がけだから切迫感が違う。空腹で死にそうなら手づかみで皿から、なんてのも納得。僕も空腹で死にそうになり腐ったパンやら未鑑定の怪しい草を食べて飢えをしのいだことが多々ある。

でもやっぱり、食欲よりぴったりなのが発作じゃね? これまた無視したら死ぬ系。しかも食欲よりもさらに切迫感が高い。息子が昔喘息気味だったんだけどお医者さん曰く、水の中で息ができない状態、とかそんな感じらしい。

そりゃキツイわ。まさに命がけ。ということで、切迫感だと発作>食欲>衝動、な気がする。ただし残念ながら発作は繰り返しイメージなので食欲あたりが無難なんだと思う。

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それでも発作的

衝動は無視しても死なないから論外。食欲も渇望も弱って緩やかに死ぬイメージだから生ぬるい。なのでやっぱり発作と言いたい。何不自由ない生活が出来ていても空が広いことに気付けばたしかに飛び立ちたくなる。

論理的に考えれば無視できる衝動でありちょっとしたわがままかもだけど本人にとっては死活問題だったりする。これを無理やり発作と呼ぶには先祖の力を借りるべきな気がする。

人間は採取狩猟生活の方が長い。農耕生活は1万年くらいの歴史しかない。だとしたらより良い場所を目指し、先祖返り的に旅立つのは当然だ。採取狩猟の旅立ちは命がけだよね。メインは食べ物を求めてであり、危険から逃げるためとかだし。

じゃあここ1万年位ご無沙汰かっていうとそうでもない。リアルでも比喩でもより良い環境や状態を求めて常に右往左往してきた。人間は楽園を追い出された後ずっと旅してきたわけだ。だとすれば旅とか挑戦は知恵の実を食べてかかった病の発作から来ているのかもしれない。

さらに言うと、旅の終わりも発作なことがあるっぽい。人によっては死んでしまったり諦めてしまったりで終了もあるけど、別の発作で終わることもある。なにしろ最近1万年は落ち着いてたしその昔は楽園に定住していたわけだ。だから安定をもとめるのも刷り込まれた発作じゃね?

でもって安定に飽きたころにまた発作がやってきて旅に出る。……あれ? なんか人間ってどうしようもない生き物じゃね? 寅さん並みにフーテンじゃね?

などと今日もまた余計なことを考えて満足。小説的な話だと、これから挑戦しようって人とそろそろ限界が見え始めた人の考えの書き分けが見事だった。

これからの人はわりとわがままで誰かを羨むことも多い。そろそろの人はその点達観していて羨んでもしょうがないことを知っているだけどやっぱり羨ましい、みたいな。妄想しても良し、普通に読んでもOKな面白本でした。

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