『風の歌を聴け 村上 春樹』で風の歌ってだいたい聴かないと思った

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*「晴耕雨読その他いろいろ」2023/11/10投稿記事の修正転載です

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「風の歌を聴け 村上 春樹」で風の歌ってだいたい聴かないよねって思った(2023/11/10)

ストーリーが外国っぽい昔でテーマが風の歌。主人公は僕。今回もマインドマップはなし。反省してる。あっという間に読み終わったからしょうがない、って前回も言った気がする。

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面白い本

少し前に小説を読んで、面白い本ってのは何だっけ? とわからなくなった。問題解決のために、文句なしに面白い本を引っ張り出してきた。

結果として以下のことがわかった。
①頭の中が村上春樹になる
②ちょっとした空き時間にも読みたい
③読み終わるのが惜しい
④他の本も読みたい
⑤自分もこんな本を書きたい、と僕は思った

①は無理な話としてもちょっと近付いた気分になる。本から顔上げ、自分が今考えたこと、目の前の状況を自分なりに反芻するとどことなく村上春樹になっている。やれやれ、とか、と僕は思った、とか。端的にいうと影響される。

普段は隙間時間にスマホを見たり、寝る前に雑誌を眺めたりする。それが村上春樹に取って代わられるのが②の恐ろしいところだ。通勤が楽しくなり、空き時間も充実。

悲しいけど③も事実。ここまで読んだ、という満足感ではなく、残りこれしかない、という寂しさがある。じゃあ読まなきゃいいんだけど読んじゃうからしょうがない。

④なんてことが有り得るだろうか? なぜか僕が今読んでるのはダンス・ダンス・ダンスだったりする。やれやれ。

⑤は人それぞれだろうけど、行きつくところはここな気がする。これはどう考えても無理でしょ、なんて絶望するだけなんだけどね。正確に言うとここまで無理ゲーだと絶える望みも何もないんだな。

と、まあ大体こんなところが面白い本の特徴だと思う。中身はいまだにブラックボックスだけど、少なくとも村上春樹を入力すれば、出力として①~⑤が得られる。

これってつまり恋愛と同じじゃね? 影響されて、一緒にいたくて、別れるのが辛くて、また会いたくて、自分のものにしたくなる。べつに友人でも良いんだけど、どっちかっていうとやっぱり恋愛。

そう考えると、⑤を達成するための手法として、恋愛のテクニックが応用できるかもしれない。……そんなの知らないけどね。

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風の歌は聴かない

前回読んだときの感想は閉塞感だった気がする。風の歌は流れていない。どこにも行き場のないよどんだ空気感が魅力的と感じた。本当のところ、この小説でも風の歌は流れているんだと思う。でもなぜか聴こえない。そんなもんだよ。

だいぶ後になって、あの時にもしっかり歌が聴こえていたんだ、とか気付き衝撃を受けるわけだ。だいたい今なんてのは見えないし聴こえない。だから青い鳥はずっとカゴの中だし灯台の根元は暗い。

小さい頃は将来を夢見るばかりで歳を取れば昔を懐かしむ。このあたりの感覚は吉田修一が上手いこと言っている。絶景の中を、景色そっちのけでおしゃべりに夢中、みたいな。それでいいんだと思う。

だから三十代の僕は二十台の僕に向かい風の歌を聴け、と叫びつつ、四十代の僕からの忠告を無視する。なんかこれって、のび太みたいだ。小学生ののび太に勉強させようとする中学生ののび太。高校生ののび太に怒られるやつ。

頭の中ではわかっているんだよ。過ぎたことはどうしようもない。けど言わずにはいられない。けっきょく風の歌は聴こえない。むしろ積極的に聴かない?

そうは言っても歩み寄らないといけない。だから僕は風の歌を聴けと言いつつ、自らもまた風の歌を多少は聴こえるようになりたいと願う。少なくとも十年後、二十年後の自分に文句を言われた時に、ちょっとは反論できるように今日も右往左往します。

などと今日も勝手に解釈して勝手に妄想して満足。……さて、どうすればこうなれる? 多少なりとも近づく方法は? そのためにはまずダンス・ダンス・ダンスを読まなければ。

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