*「晴耕雨読その他いろいろ」2019/8/9投稿記事の修正転載です
「スプートニクの恋人 村上 春樹」は主人公が引モテ(2019/8/9)
ストーリーがどうしようもない悲恋でテーマが性欲。僕がこれまでに読んだ村上春樹の小説はほとんどの場合主人公がモテモテで気が付けば複数の登場人物と良い感じになっていたりする。でもこの本ではモテない部分ばかりが協調されてて新鮮。まあやっぱりモテるんだけどね。
話的にはノルウェイの森に似ている。でももっとエネルギッシュにしたみたいな。何しろ人工衛星だからスピーディーで力強い。
相変わらずのことだが、読んでると何がなんだかわけがわからなくなる。象徴的な言葉があって、しばらく進むと似たような表現が出てくる。
すると読んでる側としては精神を揺さぶられるような不思議な感覚に陥る。あれ? どこかで見たような? 的な部分が多々あり、それが登場人物の考えだったか自分の感想だったか思い出せなくて目まいがしてくる。言葉にすると何でもないが実際に読むと中毒性が高い。麻薬みたい。
性欲ってのは確かに難しい。でも僕らは食欲、睡眠欲と同様に性欲ともなんとか折り合いをつける。元々は生存のため、繁栄のために備わっているのだろうが、上手く利用して日々を楽しく過ごす。
美人と一緒にいるのはそれだけで楽しい。おいしい食事を食べるのもゆっくりゴロゴロするのもみんな大好き。これらは絶対必要ではないが本能をうまく利用して毎日を愉快に過ごす手段としている。もちろんうまく制御できれば良いが失敗すれば破綻してしまう。
中でも性欲は厄介だ。人間が、オレたち特別! って思ってる愛と関係するだけに面倒。愛にはいろいろな種類があってそれだけでも区別がややこしいのにここに性欲が絡むとどうしようもない。
普通なら友愛Maxで異性だったらYou達付き合っちゃいなよ! だ。でもいろいろな事情でそうもいかないときがある。親友の恋人だったり、家族だったり、片思い、ってのもある。これって白鳥になれないみにくいアヒルの子状態であり、だからこそ数多くの小説になってる。
どうしようもない話だ。どうしようもないけどどうにかしたいと思って悩む。それが人間でありそれでこそ小説になるのでは。一方でどうにもならないものをどうにかしようとしたらどこか他の世界に行くしかない。それもまた人間なら置いてきぼりをくらうのも人間。
なんでこんな面倒なことになるのかと考えると葛藤があるからだよね。一つの事柄が持つ価値のズレ。自分自身の問題でも他人との問題でも、どうにかこうにかすり合わせて上手くやっていくしかない。そのためにも人工衛星同士のように接点が薄いと困ってしまう。
相変わらず面白いし色々と考えさせられる本でした。
↓蜂蜜パイが気になる。
↓大陸の話とかが出てくると怪しくて細部がしっかり。
↓説明しない、けど何かある。あるいはそう思わせることが重要では。
↓面白いに決まってます。豆腐じゃないんだから。
↓相変わらずモテモテで羨ましい。



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