『痴人の愛 谷崎 潤一郎』がワロエナイ|大正いただき物語

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*「晴耕雨読その他いろいろ」2024/11/8投稿記事の修正転載です

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「痴人の愛 谷崎 潤一郎」がワロエナイ(2024/11/8)

ストーリーが大正いただき物語で、テーマが痴人の愛、キャラクターは痴人。逆に斬新な言葉づかいのせいもあらうか非常に面白い話とおもはれる。

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あゝ勘違い

そもそも読もうと思ったきっかけがちょっと前の『歴史の不穏』。そこで「新しい女性の社会進出」みたいな感じで紹介されていた。カフェの女給を見初める話らしい。ってことで図書館でバカでかい全集から一冊借りてきた。

読み始めて驚いた。ヒロインのナオミは十五、六歳。主人公より干支ひとまわり以上も年下。その面倒を見るってんだから良く言えば光源氏。悪く言えばかなりヤバい。まあ光源氏だってヤバいか。

そう考えると全然古い話ではない。最近のラノベとかマガジンあたりの漫画でもおかしくない設定。などと言う話を妻にしたら「大正のカフェってキャバクラだよね」って言われた。……そういえば聞いたことあるかも。

だとすると「新しい女性の社会進出」とはほど遠いイメージだ。昔からある芸者の身請じゃね? そんな勘違いを経てとてもレアな読書体験ができた。おそらく先入観なしで読んだら風俗嬢に入れあげたアホの話だと認識しただろう。そう思えば「君子」なんて表現もどこか皮肉っぽい。

しかし先入観があったおかげでナオミの姿に新しさを求めて勝手に深読みすることができた。……負け惜しみ? 僕の結論だと、ナオミはまったく新しくもなんともない。かといって古くもない。それこそクレオパトラからいただき女子まで系譜はめっちゃ長い。でもって誰もが関係している。

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僕も痴人

タイトルの通り、この話は笑えない。笑えるとするとよほどの聖人君子か、自分が痴人だと気付かない幸せな人のみ。幸いなことに、僕は風俗に夢中になったことはない。っていうか行ったことがない。……それはちょっと残念だけど。

だからナオミ=風俗嬢とすると、僕は主人公を笑うことができる。「アハゝ、バカな男だ」なんて対岸の火事として眺められる。じゃあナオミ=妻と考えると? 悲しいかな、妻はこんなに魅力的ではない。昔もそうだし、今も普通のオバハン。

しかし僕は妻を甘やかしている。昔に比べると部屋が汚い、料理に手抜きが多い、そもそもお金とか親戚付き合いとかノータッチだし。子育てもどんどんいい加減になってきている。子供そっちのけでスマホ見てたり、面倒を避けるため言うこと聞いたり。問題点を挙げればキリがない。

さらにナオミ=子供と考えると? 子供が誘惑してくることはないけどやっぱりかわいいから同じようなもの。つい甘くなって要望を聞いてしまう。長男が発達障害、ってのもあるけど接し方にイマイチ自信が持てず、その結果次男も不登校になった。これはやっぱり甘やかした結果では?

同じことは社会全体にも言えそう。昔ながらの厳しい教育じゃダメ! なんて言葉に流されて好きなようにさせた結果、不登校児がメッチャ増えたんじゃね? これら問題の根底にあるのは、ナオミ=欲望、な気がする。

僕らはたいてい自分に甘く、欲望に忠実だ。欲望のためなら馬になってそこら中を走り回ったりする。シャボンまみれになって夢うつつで溺れることができる。

勉強したほうが良いんだろうなー、と知りながら遊んじゃう。もう寝たほうが良いんだろうなー、と知りながらネットサーフィン。言ったほうが良いんだろうなー、と知りながら波風恐れてだんまり。そんな風に考えたらとても主人公を笑うことができない。僕も立派な痴人だ。

これらに対抗するのが、能動的を心掛ける脳トレであり、今この瞬間にスポットライトをあてるアドラー心理学であり、闘いを挑み続ける岡本太郎的思考なんだと思う。わかっちゃいる。わかっちゃいるけどやめられない。

これこそが人間であり、人間をあらわすのが文学。などと考えて、言いにくいけど妻にもっと部屋を片付けろと言い、子供たちに学校行けor行かないなら努力しろ、的なことを言いました。僕は頑張った! 偉い!

最後、気になるのはナオミ=悪か? そんなことはないと思ってる。自分にとって好ましいナオミ、良いナオミとは是非お付き合いしたい。それこそが楽しみだし、大きな力になってくれるはず。

勝手な妄想を膨らませて日常を引き締めることができ、読んで普通に面白い。全集は大きくて読みにくかったけど文庫なら問題ないよね。マジおすすめです!

↓新しい刺激が欲しいけど、刺激の種類は選びたい。

↓気楽さと安定、両方欲しいけどムズイよね。

↓こういう子供心なら大歓迎なんだけど。

↓なぜだか幻想的な話に思える。

↓こんな文章書いてみたい。もぐもぐ。

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