*「晴耕雨読その他いろいろ」2024/12/12投稿記事の修正転載です
「いるいないみらい 窪 美澄」は幕の内社会の葛藤(2024/12/12)
ストーリーが夫婦と子供でテーマが選択、キャラクターは普通の人。変人が出てこないので派手さはないけど親として思うところはあるのだよ。
幕の内社会
昔に比べて今は色々と選べる。職業も、住む場所も、結婚相手もわりと自分次第。今でも選べないよって国もあるし日本だって自由化は最近だけど。
江戸時代以前は農民に生まれたら基本ずっと農民。子供も孫も農民。それこそ命がけで故郷を飛び出すとかとんでもない幸運と努力が必要とか、高いハードルを越えてやっと職業を変えられる。そもそも脱藩って言葉があるくらいだから、勝手に移動するのもNGだったわけだ。
結婚相手も親が決める。これらを覆すのは大変だし挑戦しても確率は低そう。制度以前に気持ちの問題が大きそう。農民の子は農民、故郷を捨てる、親不孝などもってのほか、みたいな感じで。
今となってはそうでもないこと、あるいは当時だって何とかなったかもしれないことでも常識の縛りはキツイ。発想が制限されるから動けない。
たとえば僕にとってはお金。昭和の人間にとってお金はあまり良いものではない。もちろんお金は必要なんだけど、お金の話をするのは卑しい、勤労こそ美徳、お金より大事なものがある、などなどマイナスがつきまとう。
積極的にお金について考え、働かなくても生活できる方法に挑戦するまでに何年かかったことか。発想がないから動けなかった。
制度が変わり、常識が変わり、僕らの前には色々な選択肢がある。たくさんの選択肢の中から好きなものを選べる世の中は幕の内弁当みたいだ。昔は梅干し一個の日の丸弁当⇒みんな大好き卵焼きのみ弁当⇒選べる楽しみ幕の内弁当、って感じで世の中進化している。
先人に感謝するしかない。でも選択肢があるってことは悩みが発生するってことでもある。
ムズイのは心変わり
まだ人間がサルだったころ、子供のことで悩んだだろうか? 自分には子供が生まれなくて寂しい、くらいには思うかもしれないけど選択の悩みはない。昔は一夫多妻制だったし、一夫一婦制になってからも本能が勝るだろうから発情期⇒出産、っていう流れだろう。
問題あれば子供は授からない。これだと選択の余地なし。でも今の人間は避妊できる。綿密な人生設計のもとまだいらない、そろそろ欲しい、一生不要、なんて選択が可能だ。
考えてみたら結婚の契約はおおもとを辿ると子供が関わる。オスが食料を持ってくる、メスは子供を産み育てる、だった気がする。だとすると根幹の部分である子供について、契約時に確認しないのはあまりにも軽率だ。
どちらか片方が子供を望み、もう片方が望まない、なんてのはよくよく確かめないで契約書に印鑑を押すようなイメージ。そうは言っても長い歴史の中、この曖昧な契約で上手くいっていたのは僕らが結婚⇒出産という常識に従っていたからじゃね?
世の中が変わってきたんだから意識をあらため、契約事項をよく確認する必要がありそうだ。……メンドクセー。こんな調子で制度と常識の自由化が進み幕の内社会となった今、似たような面倒くささがたくさんある予感。
自分はそこ大事じゃないからフルオートでお願い、って部分もいちいち選択が必要。正直、見合い結婚の方が良かった、専業主婦の方が良かった、なんて考えてる人も多そう。
さらに言うと、幕の内弁当の葛藤は正と正だ。どっちも良いから迷う。それに引き換え、人生の葛藤は負と負がやたら多い。どっちも嫌だから気が滅入る。
出産育児に何のデメリットもなくお金も時間も腐るほどあるよ、っていうならみんな欲しいと思う。でも実際にはそうでもないしわからないことは不安だ。
最も難しいのは心変わりでしょ。今現在どうかでの選択は出来ても、それが長いこと後になって将来どうか、って選択はムズイ。
若い頃に、結婚なんていいや、って思った人も歳取って後悔する。子供より仕事、って思った人もあとあと自分の判断を恨む。どっちを選んでも悔やんでた気がしないでもないけど。
常識を考え、将来を考え、今最も良いと考える選択をする。……これって株みたいだね、なんて余計なことを考えました。今日も本の内容とは関係ない妄想が捗って満足。
↓10年経って内容忘れたけどラビッチって単語は妙に覚えてる。
↓制度も常識も、世の中全て虚構ですよ。
↓子供は別にいいやってほど仕事が楽しければそれもまた幸せ、……将来分からないけど。
↓自己啓発本の大ボス、瞑想の本を買ってくる予定。
↓自分神話を求めて今日もまた右往左往。









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