『ユーチューバー 村上 龍』で神は細部に「こそ」宿るのかもと妄想

02book-260203youtube0 小説
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なんでか知んないけど

ストーリーがユーチューブでテーマが些細な事、登場人物が有名小説家。僕も些細な事を覚えてたりする。大事な部分は覚えてないんだけど、そこだけ妙にくっきり、みたいな。そういうのが凄いリアルで共感できる。

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最初の話が超面白い。有名作家の女性遍歴が語られる話で、もちろんエピソードとして面白いってのもあるけど、どうして面白いと感じるのかわからないから面白い。

それぞれの話は中々刺激的だ。あれかね? ただ単に野次馬根性なのかね? なんとなくいくつかは著者の実体験な気がする。だからゴシップ的に面白いとか。そもそもユーチューバーに誘われるって話自体、実体験な予感がしないでもないけど。

でもそれだけじゃない気もする。いちいち「なくはない」話だ。ひどい扱いを受けても離れられないとか、めっちゃ優しくされても塩対応で返すとか。もちろん僕はそんな体験したことないんだけどなぜか共感できる。ありそうな話だ。

自分の野次馬根性を認めたくなくて、適当な言い訳付けてるだけかもだけど、ポイントは「共感」と見た。「共感」こそ「努力」と並び、僕が勝手に考える二大喜びだ。ではなんで僕は体験していないのに共感できるのか?

まずはおそらく社会通念としての共感がありそう。今まで聞いた話、読んだ本、見た映画などなどから得た知識的な共感。こういう状況ではこんな心境、みたいな。これなら実体験ゼロでもOK。朝起きたら双子に挟まれてた経験が無くても、同じシチュエーションで共感できるかも。

それから延長線上作戦、似たものから類推パターンがありそう。たとえば前述の「雑な扱い受けても~」とか恋愛的に未経験でも、子育てだったらある。だいたい子供なんて親が大事に扱っても、自分の興味優先でめっちゃ雑な扱いしてくるし。

そう考えると共感には受け手側の心構え的なものも必要なわけだ。社会通念と類推のタネとなるベースが必要。どんなに強力な電波がやってきても、アンテナが高くなければ受信できない、みたいな。

かといって電波が強力過ぎる当たり前な話でもダメな予感。それじゃあ当たり前体操になってしまう。まああれも流行ったわけだから需要はあるんだろうけど、当たり前のことしか書かれてない小説ってのはちょっと残念な気がする。

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神は細部に「こそ」宿る?

この小説の中で最も共感した部分は「些細な事」だったりする。些細な事なのになぜか覚えている、みたいなの。冒頭の車の色「きれいな赤」なんてのは、主人公がこれから取ろうとする行動に比べたら無関係。まさに「些細な事」じゃね? でもそんな覚えが僕にもあるのだ。

たとえばまだ妻と結婚する前、何を話していたのかなんて覚えてないんだけど、僕はともかく時間を気にしていた。だから時計ばっかり思い出す。その頃はまだ一緒にいるのが楽しかったから、タイムリミットが来るのが嫌で残り時間を気にしていたわけだ。

あるいは大学受験(初回)の時、間取りとかは全然覚えてないんだけど、やたら静電気がバチバチくるホテルだったことだけははっきり記憶している。それが原因で落ちたと思っているから忘れられないのかもだけど。

……などと頑張って思い出したんだけど、あらためて探すと些細な事だけど覚えているってあんまりないね。上記のように、わりとしっかり理由がある。あるいは本当に些細な事は、些細過ぎて忘れてしまっているって可能性もあり。

それとも「些細な事を覚えている」ではなく、「些細な事なのに気にかかる」⇒重要って流れなのかも。こっちの方がしっくり来る? 前述の通り、重要な事とセットになっている些細な事が忘れられない、的な。さらに重要な事を忘れても、些細な事だけ覚えている。

些細な事を通して語られる重要なことがリアルに感じられるのかも。重要な事そのものを語るのではなく、すぐ隣に接する些細な事を通してこそはっきり存在を認識できる、あるいはそうすることでしか重要な事には触れられない、みたいな。自分を語るため牡蠣フライを用いるのに似ている。

複雑な物事は直接語るとどうしても正確性に欠ける。そもそも曖昧だから正確に表すことなんて不可能。だとすると周りを埋めて、この辺りですってするしかないのかも。自分の肌に洋服が触れることでしか、自分を認識できないって話に似ている。

ってことで些細な事を語るのは結局重要な事を表す近道、場合によっては唯一の道なんじゃね? 神は細部に宿る、あるいは神は細部に「こそ」宿る、みたいな。細部がしっかりしていれば、自分自身の経験と照らし合わせて、重要な事と認識される気がする。

なんかいい感じに発散してきた。煮詰まり状態なのでこの考えはしばらく放っておくことにします。野次馬根性的にも面白くて、重要な事が語られてるっぽい気がする良本。やっぱり村上龍もすごいよね、って感じる一冊でした。

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