無いんだか有るんだか
テーマが不在、ストーリーが村上春樹節、キャラクターが村上春樹っぽい人。絶対に昔読んだことがあるんだけど、何か他の本で読んだのかも。特に小人の話がすごい。よくあんな話思いつくよね。村上春樹の中で一番好きかも。

スターシステム?
例示がすでに昔話で申し訳ないが、キムタクはどんな役柄を演じても同じって言われていた。浅野温子もそんな感じだったし、福山雅治もそうだよね。でも彼らはメッチャ人気者。逆に同じであることが魅力なのかも、ってほどで、水戸黄門的な安心感があった。スターシステム、みたいな印象?
村上春樹も同じじゃね? 登場人物はだいたい同じ。役柄的には違うのかもだけど、人間性がだいたい同じ。一見ドライに思えるけど、やるべきことはいかに大変でもやり遂げる熱意をもった人物。以前に書いた通り、「やれやれ」という言葉が似合う。
もちろん不満を感じる人もいるだろう。いっつも同じじゃん、飽きたよって感じで。でも唯一無二の強烈な個性は代替不可能であり、一度ハマったら他では味わえない。それが村上春樹的キャラクターの恐ろしさだと思う。
魅力的なキャラクターを放り込むストーリーがまたユニーク。小人の話とか不気味で意味不明でクセになりそう。納屋を焼く、も怖くて面白い。蛍も良いよね。……ぶっちゃけ後ろの方は個人的に刺さりませんでした。そういうこともあるのだよ。
恐ろしいことに文章がまた良い。小説が不人気なのはコストが高いからだと思っている。マンガや動画の方がコスパが高いから、みんなそっちを好み本は売れなくなる。しかし村上春樹の場合、コストがかかることをマイナス要素からプラスに変えてるんじゃね? もちろんファン限定だけど。
たとえば普通の小説の中で、サンドイッチについて長々と語られたらどうだろう? 多くの人は退屈し、場合によっては読むのを止める。しかし村上春樹ファンはニヤニヤしながら大喜び。また始まったよ、とか言いながら楽しんじゃう。ここまでくるともはや中毒。
喪失、じゃなくて不在
この本のテーマは不在、さらには同時存在だと思う。無いことと有ることは同時に存在し、有るの中には無いが、無いの中に有るが含まれる、みたいな。わけわかんないけど。もちろんこれが正解かどうかなんて、僕にとってはどっちでも良いことですよ。
上記の通り村上春樹はあんまり説明してくれない。ポケットに手を突っ込んだままで、ポケット中に何かあるのかどうかよくわからない。何も持ってないよ、っていう人もいるし、すごいものを持ってるって人もいる。
村上春樹を結婚詐欺師に例えた人がいるとか。だとするとポケットの中から取り出されるのか何か? 婚約指輪を取り出してファンを一生覚めない夢の中に連れて行ってくれるかもしれない。あるいは拳銃が出てくるかもしれない。もちろん出てきた拳銃は使われるのですよ。
僕としてはどっちでもないと思ってる。手はポケットに突っ込まれたままであり、何かが出てきたりはしない。しかしそれこそ楽しい。そりゃ結婚した後にも楽しいことはあるけど、結婚前の方が夢あるし。優れた結婚詐欺師は夢を見させ続けてくれる。いただき女子と同じだよね。
そこで僕らファンは勝手に妄想する。ひとつひとつの断片、キーワード(と思うもの)、モノをつなぎ合わせて、自分なりにポケットの中を推し量る。モノは何でもOK。ファンならどんなモノでも燃料にできる。この辺も恋愛と似ていて、結婚詐欺師っぽい。
上記みたいに解釈は自由で、合ってるかどうかも関係ない。考えること自体が楽しいんだからしょうがない。ポケットの中身があるかないかなんて無粋。それもまた同時存在なんじゃね? 有るの中に無いが、無いの中に有るが存在する、みたいな。
などと今日もあれこれ勝手に考えて満足。色々と妄想したけど、これを役立てるのはハードル高くて無理です! もちろん挑戦はするけど、簡単に真似できるんだったら誰かがすでにやってるよね……。
↓ドライだけどやるべきことはやる、ってアドラーっぽいよね。
↓小説読みながらマインドマップ描くのは無茶だと自分でも思ってる。
↓初期のころは今ほど妄想が広がってないみたい。
↓歳を取ったら、食事制限と運動の同時存在がヤバい。
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