「小田くん家は南部せんべい店 髙森 美由紀」は語らないのが魅力

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せんべい型に注目

ストーリーが南部せんべいホームドラマ、テーマがせんべい型、キャラクターが南部せんべい店の人たち。耳とかせんべい型とか象徴的な物が多い印象。それぞれ気にかかる人は多いんじゃね? 題材がたくさんあって、でも多くは語らないのが魅力的でした。

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青森には思い入れがあるのですよ。両親ともに青森市出身、毎年夏休みは一か月くらい祖父の家で過ごしました。なのでこの本に出てくる方言もなんとなくイメージできる。驚いたときに「わいはー」ってのが好きなんだけど、地域差なのか出てきませんでした。ほんでねの、津軽衆。

青森駅に着いたらタクシーで祖父の家まで行く。そうするとタクシードライバーと母の会話がさっぱりわからない。降りた後「お母さんすごいね」って言ったら「お母さんも半分くらいわかんなかった」って返ってきた思い出がある。それほど独特な方言だよね。

さらに祖父の実家は弘前、昔の地主なもんで長い土間があった。自営業だったんだけど、表の道から裏庭に通じる土間で、昔は大八車がそのまま入ったとか。知らなかった。あれ通り土間って言うのか。なのでこの本の舞台は比較的イメージしやすいのですよ。

調べてみるとAmazonのリコメンドが不思議な感じで、同じ作者の小説ではなく色々な作家の本が一緒に買われているそうだ。なんで? って思ったら中学入試で出題される可能性があるとか。なるほど、たしかに長文問題に向いてそうな話。題材がいろいろ出てくるしね。

個人的にはひとつに絞ってある方が好き。耳だったら耳、せんべい型だったらせんべい型で突っ走った話の方が取っつきやすい。どっちに注目すべきかわからなくってしまうのですよ。もっと重みに差があったら集中できるのかもだけど。

ということで、いつものように勝手にテーマを選ぶならせんべい型。最初から最後までずっと出てくるのはもちろん、最終章のタイトルにもなってるし、主人公だけでなく、じさまもせんべい型。あれ? せんべい型だらけ? だとすればテーマをせんべい型と考えるのは妥当かも。

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多くを語らない魅力

じさまたちに昔何があったのか? 絶対に何かあったよね。それを語らないのが良い。『職業としての小説家 村上 春樹』の「説明しない」、『べらぼうくん 万城目 学』の「独りよがりを燃やし尽くす」につながるものがあると思う。

僕だったらもっと書きたくなる。じさまの過去にはこんなことがあってー、みたいに説明したくなる。どうしてもおしゃべりしたい。でもそういうのってたいてい説明しすぎる。独りよがりになって面白くない。冗長になってテンポも悪くなるだろうし。

この小説では匂わせる程度で止めていて、後は読者の想像に任せている。潔くて良いよね。放っておいても勝手に想像しますよ。絶対に何かあった。それを語らないのが良い。僕には到底真似できない、プロの技だ。

そもそもそれがリアルだったりする。小学生にとって大人の話、とくにじさまばさまの話なんてわかんない。大人が話している時の蚊帳の外感、なんかあったっぽいな感漂うのが現実だ。さらに青森の場合、方言きついんだから年寄り同士の話なんて孫だってムズイだろう。

ということでやっぱり多くを語らないのが良い。わかっちゃいる。わかっちゃいるけど止められない。ついつい僕はドヤ顔で説明するわけだ。実はこうなってたんですよー、なんて鼻の穴広げて冗長に。今度書くときは気を付けたい。……いつも思ってはいるんだけど。

そう考えると青森はピッタリかもしれない。「どさ」、「ゆさ」でしょ? しゃべると雪が口に入るから多くを語らないんだっけ? 多くを語らないのに津軽弁は向いているのかもしれない。両親ともに青森出身な僕がおしゃべりなのが謎だけど。

そんな調子で、今日も本の内容から発散して、関係ないこと色々考えて満足。ぶっちゃけわりとストレートな話なもんで、妄想を膨らますにはちょっとハードル高い本だったけど。昔ながらのホームドラマ好きにおススメな一冊。

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