「架空犯 東野 圭吾」が横綱相撲で驚愕|実力者のみに許された渋さ

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*「晴耕雨読その他いろいろ」2025/2/8投稿記事の修正転載です

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「架空犯 東野 圭吾」が横綱相撲で驚愕(2025/2/8)

ストーリーが渋い刑事ものでテーマが執念、キャラクターは普通の刑事。イマドキっぽくないミステリー小説で堂々の横綱相撲を見た気分。

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ある意味ニッチじゃね?

最近の本を読もう作戦継続中。今回も古本だけど新しいだけあって高価だった。けどまあ東野圭吾の新作を読めた、ってことで面白かったです。読み始めてまず驚いた。ぜんぜん今っぽくない。スマホとかは出てくるけど、それ以外の点では半世紀前と言われても納得の渋さ。

イマドキ人気作家のミステリーってのは、もっとこう派手だと思ってた。もちろんシャーロックスタイル。主人公はアクが強い美形、脇役も無駄に個性的で美男美女揃い。事件は類を見ないほど奇怪。

なんだけどこの本の主人公は地味。容姿とかさほど気にしてない様子。さすがに男塾じゃないから女性は出てくるし美人設定です。でも必要に応じた美人って感じ。これはおそらく人気作家でないと書けないタイプの小説だと思う。無名の人間が書いたら冒頭で読まれなくなるパターンと見た。

東野圭吾だから読むのを止めず、その期待にこたえ続けてきた実力者にしか許されないんじゃね? そこには大きな需要があるはず。イマドキの派手なミステリーに、どうにも馴染めない層が一定数いる予感。メインは中年以上だけど若い人にもいそう。

でもそういう人だって貴重な読書時間を割くわけだから外したくはない。渋いなー、と思いつつ最後まで渋々読み続けたくはない。そういう場合、やっぱり安定の人気作家、実績のある人間の作品に手が伸びるんじゃね?

ということでこの本はある意味ニッチなポイントを、積み重ねた実績で取りに行くという横綱相撲的な存在だと思う。横綱がニッチ?なんて気もするけど今となっては渋めミステリーが主流じゃないからしょうがない、的な。

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巧妙な偽装

なんだけど、やっぱり新しくもある。全体的に渋いけどストーリーがイマドキミステリーな気がしてならない。失礼を承知でぶっちゃけ言うとストーリーの面白さ優先な気がする。

僕がイメージする昔ながらミステリーは一意の解を探す。それも探偵と読者に同じ情報が与えられ知恵比べをするみたいな感じ。ある意味パズルに近く、曖昧さは極力排除される。

それに対してイマドキミステリーはストーリーの面白さを求める。かなり曖昧でも面白ければOK。理論的なカチコチ推理よりも興味を掻き立てられる筋書きが優先される。正直、この本を読んだ感想としては、警察がこんな見落としするか? なのですよ。

捜査を始める前に身元チェックしないの? 推薦者は黙ってたの? 偽装を見破れなかったの? もっとも不思議なのがたくさん出てくる防犯カメラ。犯行時刻に現場に向かって、現場から立ち去るときには茫然自失な人とか分かりそうじゃね?

そういうの実際にはムズイんだよ、って言われればそうなのかもしれない。そうなのかもしれないけど、あまり説明は見られない。そのへん含めてイマドキ。なんて考えると作中の事件もさることながら、この本自体にかなり巧妙な偽装がある。

まずベースにはイマドキミステリーを持ってくる。カチコチ理論よりも雰囲気の面白さが流行りでありマストなのですよ。ここでパッと見もイマドキにしちゃうと巷にあふれるミステリー小説相手にレッドオーシャンの戦いになる。なので人気作家にのみ許された渋めニッチを狙う。

勝ち易きに勝つのが兵法。強いからって気は抜かず、堂々の横綱相撲で危なげなく寄り切る。……恐ろしい。ウサギ相手にも全力を尽くす獅子を見た思いがする。東野圭吾は「あの頃僕らはアホでした」のイメージしかなかったんだけど俄然興味が出てきた。

似たようなパターンでヒットを飛ばしているのか。それとも様々な技巧を凝らすテクニシャンなのか。興味津々。また今度読んでみます。などと今日も勝手にいろいろ考えて良い自己満足でした。

↓そういうのよくわかんなーい。

↓微妙な違和感の正体は最後の方で明かされます。

↓最大の弱点は充電忘れ。

↓犯人がわりと浅はかじゃね?

↓休日はゆっくり読書、……のつもりが面白くて逆に刺激になったりして。

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