*「晴耕雨読その他いろいろ」2024/12/7投稿記事の修正転載です
「成瀬は天下を取りにいく 宮島 未奈」のチャレンジ精神に戦慄(2024/12/7)
ストーリーが変人大冒険で、テーマがチャレンジ、キャラクターは変人。何がすごいって著者のチャレンジ精神じゃね?

挑戦って大事だよね
通勤時にふと思った。僕は小説を読んであれこれ考えて、それを十分役立てているだろうか? 自分の価値も大事だけど他人の価値との比較も重要、みたいなことを考えた。これを実践できていない。
具体的にいうと、小説家になれたらいいなー、って思ってるくせにわりと昔の本ばかり読んでいる。もっと最近の本を読むべきじゃね? ってことで買ってきました。借りてきたんじゃないですよ。本屋で1,700円払って新刊買ったんですよ。めっちゃ久しぶり。
評判良くても微妙な本が多い中、この本は凄く面白い。さらに面白いだけじゃなく著者の冒険心が恐ろしい。普通こんなこと出来ないと思う。
面白さの大部分は主人公の変人さにある。変人主人公と振り回される凡人。完全なシャーロックスタイルであり、王道的な面白さがある。そんなことを考えながら3話目に突入して驚いた。シャーロックスタイルも変人も全部投げ捨てている。当然超減速。どうしてこうなった?
調べてみると1話目で賞を取り雑誌に掲載、3話目も雑誌に掲載、他は書き下ろしらしい。書いた順は知らないけど、上記の通りだとすると1話目で大当たり引いておいて直後の3話目で大冒険している。凡人なら同じパターンを踏襲するだろう。
さらに著者は実験を繰り返す。1話目、2話目のスタイルはその後出てこない。流石に4話目でシャーロックスタイルに戻っているけど、主人公に否定的な凡人、好意的な凡人、主人公視点と色々試している。
1話目で賞を取ったのなら、同じスタイルを繰り返す⇒飽きられる、ってのがよくあるパターンだと思う。でもそれをしないで試行錯誤しているのが驚き。だってせっかく賞取ったんだよ? 安パイで行きたいじゃん? 冒険してせっかくのチャンスをフイにしたくないでしょ?
でも著者は実験している。その姿は自分の髪の毛で実験をおこなう主人公に通じる。凡人なら無難に行きたいところを果敢にチャレンジしている。戦慄するレベルで勇敢だ。
全然関係ない分野だけど、妖怪ウォッチのレベルファイブが同じようにチャレンジしてた。大当たり引いておいて、人気があるうちに冒険してた。……結果消えたけど。子供は飽きっぽいから、って理由だったと思う。
じゃあポケモンはどうなんだって気がするけど、たしかに人気が衰えてからの冒険は失敗の予感がする。だからと言って人気があるうちの路線変更も怖い。その勇気がスゲーな、って思った記憶があるけど、この本を読んで同じ気分。
さらに関係ない話だけど、変人視点の場合は三人称が良いっぽい。僕は昔、変人主人公の一人称で書いたことあるけど、こっちの方がしっくりくる。勉強になるなぁ。
無敵の人
主人公はストイックな努力家だけど考え方にちょっと疑問が残る。たくさん挑戦してそのうちひとつ当たればラッキー、って姿勢。これは大人が考える子供の理想的な姿勢な気がする。
大人にはもうあまり時間がないけど、キミたちは色々やってみてその中から好きなことを選んでね、みたいな感じ。正直、親としては子供にそうあっていただきたいが子供は大人以上に好きなことしかやらない。好きなことは止まらない。
そう考えると主人公はめっちゃタンパク。色々な分野で成果を出しつつ、あっさりやめる。これはある意味子供っぽくて、大人から見ると勿体ないことを子供はよくする。それを捨てるなんてとんでもない! なんて気分になる。
おそらく価値観が違うんだと思う。興味のあることはたくさんあって、それらは交換可能、べつに他のものでもOK、って思想。だから簡単に捨てられる。これはある意味無敵の人だ。捨てるのが惜しくないから強い。蛮勇ってやつですな。
蛮勇は強さにも弱さにもつながる。捨てられないもの、交換不可なもの、絶対手に入れたいものの存在が執念の強さを生み出すんじゃね? これ以上先はなさそうだからやーめた、では200歳まで生きられない。
おそらく著者にとっての小説がそうだったんじゃないかなー、なんて思うんだけど、どうだろうね。ある程度の成果を出した人は天才でもない限り強いこだわりがある気がする。などと考えていたらしっかりフォローされてました。
続編があるっぽいけど、主人公の変化に加えて著者の冒険が気になる。などと余計なことを気にしつつ、今日も小説と関係ないことを考えて満足。大変勉強になりました。今さらながらマジおすすめ。
↓怪しい世界が何とも言えない魅力。
↓先のことって知っているのと実感するとで全然違うよね。
↓ウサギ+ハードボイルドって設定の発想がすごい。
↓DIYに色々チャレンジ。







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