『怪魚ウモッカ格闘記 インドへの道 高野 秀行』は子供心の大人本

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*「晴耕雨読その他いろいろ」2024/11/15投稿記事の修正転載です

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「怪魚ウモッカ格闘記 インドへの道 高野 秀行」は子供心あふれる大人の本

ピーク時には1日10万人が熱狂したというウモッカフィーバー。その内の一人は僕なのですよ。ということで図書館でタイトルを見て即決。子供心を忘れない大人な本でした。

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大人の事情

この本をこれから読む人のためにウモッカが見つかるかどうかは、大人の事情で内緒にしておきます。……なんて言ってもだいたい想像つくわけだ。

その昔、探検隊もののテレビとかで「本当に発見してたらニュースになってテレビ番組放送前にお祭り騒ぎでしょ」なんて親に言われたけど、同じ論理はこの本にも当てはまる。そう言いつつもウモッカフィーバー時ネットにかじりついた身としては期待せざるを得ない。

僕が読んだ後に、プロが探しに行ったのか! これは何かやってくれるに違いない! と、ここで話題を転換して気になる/ならない的なパターン分けに注目したい。

何かをやろうとすると、事前に気になる/ならないが出てくる。でもって実際問題になる/ならないの結果もあるわけだ。そうすると組み合わせは2×2で4通りになる。

①事前に気にならなかったし実際に問題にならなかった
②事前に気になったけど実際には問題にはならなかった
③事前に気にならなかったが実際には問題になった
④事前に気になったし実際に問題なった

①はまあ妥当だったわけだ。いちいちあらゆることを心配してもいられないわけだから、流すところは流す。でもって結果的に合っていた、と。

②はおそらく気を付けて対策を打ったのだろう。その結果問題は起きなかったのだからファインプレーってことだよね。でかした!

③が最も大きな問題だと思う。藤岡弘、的にいえば危機センサーが甘かった。

ほとんどの物事は①だとしてもその中から③を見つけ出したい。④もまあ残念だけど対策してダメだったとすると力及ばず的な部分がある。ある程度しょうがないんじゃね? 気付いてて放置だとすると明らかにNGだけど。

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危機センサーがムズイ

上記①~④を考えると、問題は③と④の2つのパターン。中でも危機センサーを働かせて③を潰したい気がする。たとえ結局問題となった④のパターンだとしてもじゃあ次回からもっとしっかり対策しようと態度を改めることができる。一歩前に踏み出せるわけだ。

ところが③はいただけない。予想もできなかったわけだから最悪パニックにおちいって何もできなくなる。危機センサーを働かせろ!

この本の結末に関わる最大の問題は③だと思う。読んでて「え!? それ大丈夫なの?」と思ったことが実際に問題なった。まあ、何しろ綱渡りなのでそんな事柄だらけなんだけどね。ということで作者の危機センサーの低さを嘲笑う……のは間違いだと思う。

おそらくこれは高度な読み合いの結果だ。世の中には気になっても放っておいた方が良いことがある。騒ぎ立てて逆効果、ってのがわりとあるのですよ。雉も鳴かずば撃たれまい的な。たとえば、僕が色々上手くいって経済的自由を手に入れたとしよう。小説でも株でもFXでも何でも良い。

そうなった時に僕は会社を辞めようとするだろう。だからといって妻に内緒で退職するわけにはいかない。熟年離婚裁判で不利になる。ここは穏当に、波風立てないよう恐る恐る聞いてみる。すると僕の方が不安になってしまうほどあっさりOKしてくれた! ……こんな時どうする?

安全のためにはしっかり確認したい。「わかってる? 会社辞めるんだよ?」と話を振り、事の重大さを理解してほしい。反面、再挑戦が怖いのも事実。一度聞いたんだからもういいじゃん。

上記は幸せな妄想だけど仕事なんかでもたまにあるんじゃね? 念のため確認しておこうかなー、藪蛇になるかなー、みたいなこと。どちらが正解か超ムズイ。

これはもう危機センサーの出番だ。まず最初に問題になりそうかどうかで危機センサーチェック。次に確認・対策して良いかどうかで再び危機センサーチェックが必要。大抵は最初のチェックのみ必要ですぐに確認・対策して良い。

でも微妙な問題だともう一度チェックしなければ問題をややこしくする恐れがある。さらに難しいのが判断だ。微妙な問題だけど確認・対策するか、おとなしく静かにしているか。その判断は激ムズだし、多分正解はない。ほとんど博打の出たとこ勝負。

考えて正解に近づけるなら考えれば良いし、行動して確率を上げられるなら行動すれば良い。でも読み合いは相手があることだからやれば良いってもんでもない。この本にも書いてある通り、何も行動できないでできることは待つだけってのが一番ツラかったりする。

つくづく思うのだけど、人間はたいていの勝負に勝てるし実際にこれまでわりと勝ってきた。他の動物とか、自然とか、気候とか折り合いをつけて上手くやってきた。でも、というか、だから、というか人間相手だとこうはいかない。

相手も考えて行動してくるから勝率はグッと下がる。だいたい五分五分のギャンブルになる。現在我々が直面している自然災害とか気候変動とかの対戦相手は、自然や気候ではない。人間が対戦相手だ。だから問題解決できないと思ってる。

話が完全に発散してきたので無理やりまとめると、この本も同じじゃね? 大人の事情であんまり細かく言えないけど。あと、この本の出版にも大人の事情が色々関わってそう。正直、本を出さないっていう選択肢もあったと思う。でも出したのは大人の事情では?

などと今日も色々妄想できて満足。僕としては文章も心地良く、克美荘派的に軽妙で心躍る。冒険大好きな子供心をくすぐりつつ、でもやっぱり大人って色々あるよね、と考えさせられる一冊でした。

↓迷ったら広い方の世界に行くと良いらしいよ。

↓子供との共同の思い出はプライスレス。

↓ルポルタージュにもいろいろなスタイルがあるよね。

↓救いも何もないのがすごい。

↓五反田君ならうまくやる。でも五反田君は色々大変そうだ。

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