『神の子どもたちはみな踊る 村上 春樹』ストーリー性テーマが魅力

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*「晴耕雨読その他いろいろ」2019/5/24投稿記事の修正転載です

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「神の子どもたちはみな踊る 村上 春樹」はテーマにストーリー性があって面白い(2019/5/24)

ストーリーが地震つながり色々でテーマも色々。短編集は共通したテーマがあったりしてそれを探すのが楽しい。しかし今回僕には見付けることができなかった。ていうか別のことが気になってそればっかり考えていた。

この短編集の話はテーマにストーリー性がある気がする。そして僕はその部分をとても面白いと感じている。考えてみれば村上春樹の小説はそのパターンが多いのでは。

小説にはテーマとストーリーがあると思ってる。例えば「急がば回れ」がテーマだとする。これをストレートに書くと五文字で終わりになる。これだとフーンとしか思わない。

ことわざ辞典なんかを見ても「急がば回れ」は例文と共に載っていて、例文を読めば知らない人でもどういう意味かを理解できる。この例文がストーリーだと思ってる。ことわざ辞典の例文には通り一遍のことしか書いていない。まあ意味は理解できるが普通はそこまで心に響かない。

でも実際に最近そういう経験をしてて、あー、もっと丁寧にやってたら! とかつくづく骨身にしみて思った人にとって「急がば回れ」はリアルなテーマになる。

そんな丁度良い人はそうそういない。大多数の人は「急がば回れ」に対してアンテナが低く、一部の人は高い。だから一般的な例文を呼んで膝を打つかどうかは読者の経験により、確率と運の問題になる。

ところが良いストーリーは確率を上げることができるっぽい。同じ本を読んでいる、という読者に共通の経験を通しアンテナ感度を高くする。この間羊男の話を読んだときそんなことを思った。

こんな調子で考えてる僕にとってストーリーとテーマは小説の両輪。だからこそストーリーとテーマは全く別々のものと思ってた。なんだけどこの短編集を読んでテーマにストーリー性があると感じた。

例えば焚火とか蜂蜜パイとか。面白いなー、と思ってたらそれがテーマにつながり意外な驚きがある。だから余計テーマが印象に残る。

どうもこれはアメリカドラマっぽい面白さにもつながる気がする。アメリカのドラマやアニメの中には、複数の登場人物にそれぞれ問題が発生し、最後に上手いこと全て解決し大団円を迎えるものがある。発明家兄弟とカモノハシスパイとか。

本筋にあたるストーリーとストーリー性を持ったテーマが絡み合って進行し、最後はキレイに全部まとまる。そんな面白さがあるのでは。

さらに入れ子構造の面白さもありそう。まずテーマがあってそのテーマはストーリーを持っててさらにそれを本筋のストーリーが包む。何となくフラクタル、みたいな。

どうも何か面白いことに気付きかけている予感はするがイマイチ釈然としない。それってきっと僕がテーマとストーリー、ついでにモチーフの関係をきちんと理解できていないからだろう。もっと勉強が必要そう。

相変わらず訳がわからないことを色々考えて満足。もちろんそれ抜きでも十分に面白い本でした。

↓細部までしっかりって妄想しがいがある。

↓あんまり書かれてないと勝手にいろいろ考えたくなる。

↓軽妙な文体と閉塞感のギャップがすごい。

↓目が覚めたら双子に挟まれていた経験のある人ない人も楽しめます。

↓隠喩が難しいのは当たり前。豆腐じゃないんだから。

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