*「晴耕雨読その他いろいろ」2018/7/13投稿記事の修正転載です
「風の歌を聞け 村上春樹」を読んで着実にハルキゲニアに近づいた(2018/7/13)
ストーリーがヒト夏物語でテーマが人生いろいろ。普通大学生のヒト夏物語っていうと爽やかで青臭くてほろ苦くて、みたいなのを想像してしまうが不毛さとオシャレ感とビールにまみれている。見事な個性だ。
何が違うかっていうと風な気がする。普通なら暑いけど風が吹いてて爽やかー、な雰囲気なのだがこの小説は空気がよどんでいる。屋内でも屋外でも何となく。だからタイトルに反して風が吹いてる感はなくって逆にそれを求めてる、みたいな。なんだろうね。閉塞感?
今となっては村上春樹をけなせる人間はそう多くはないだろう。モノの分からない粋がった素人扱いされるだけでは。でも明らかにこれは好き嫌いが別れる。日本風にアレンジされた外国料理ではなく現地そのままの味付け。ナンジャコリャ感とハマれば病みつきになる予兆がある。
何が凄いってこれが処女作で新人賞に出したって所だ。凡人ならこんな冒険しない。と、思う。みんなしてるの? 普通はもっと安全路線じゃない? 始めてだと文章書くのも大変で、あー、こんなに苦労してるんだから博打を打つより安パイを狙おう、ってなるんじゃない?
少なくとも凡人の僕はそう思った。未だに僕が理解できない事として文学系とエンタメ系の違いがある。文学系は何らかの文学的冒険が必要、なのだそうだ。そこには異論を感じまくりなのだがこの説明が正しいとすれば確かにこの小説は条件を満たしている。
僕なら怖くて書けないと思った冒頭の文章を書きたくてこの小説を書いたとか。その他ユニークな表現方法が色々。確かに冒険しまくりだ。ひょっとしたらある一定の割合でそういう人がいるのかも。で、ああ満足、とばかりに小説を書くのを止めたり、中には書き続けて芽が出ない人も。
その中で何らかの要素が引っかかって、っていうかやっぱり魅力があってそれで村上春樹は評価されたのだ。何だろうね。それが分かれば苦労はないか。
僕が魅力を感じるのは重苦しい雰囲気と軽妙な文体のギャップ。ガムシャラに打破しよう、というわけでもなく、でも隙があればどうにかしたいみたいな希望的観測のリアルさ。そんなところなのだが何だか違う気もする。何だろうね。
ということで今回も楽しく読ませていただいた。日本名作勉強シリーズにして村上春樹の小説2作品目。名作勉強抜きにしてまた読みたいと思う本でした。こんな不純な動機の変わり者のファンということで。
↓今この瞬間のダンスに集中。……それがムズイのですよ。
↓読み終えた後に病みつき倦怠感が待ってます。ダウナーな怪しい薬みたい?
↓僕も痴人なんだからワロエナイ。
↓人工衛星だから力強いよ。
↓ありえそうな話にちょっと超常現象をプラス、ってパターンが好み。



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