『あかね雲の夏 福田 栄一』はビックリするほど何も起こらない

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*「晴耕雨読その他いろいろ」2016/5/19投稿記事の修正転載です

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あかね雲の夏 福田栄一(2016/5/19)

・雰囲気は良い
ビックリするほど何も起こらない、解決しない
・描写もしっかりしているが内容が漫画的

雰囲気は良い。のんびり田舎暮らし、気の合う人と出会い恋愛要素もある。こんな暮らし自分もしてみたいなぁ、と思う。

こんな魅力的な環境の中でいったいどんな出来事が起こるのだろう、と期待して読み進めると、なかなか起こらないなぁ、となり、あれ?さっきのが山場だったの?となり、気が付けば終わってしまう。

何とこの小説は何も起こらない、解決しない、投げっぱなしジャーマンの凄まじい小説なのだ。いや、雰囲気は好きなんだよ。

何も起こらない、については雰囲気を楽しむ、と解釈しよう。確かに雰囲気は良い。でも解決しないってのはどうなんだろう。主人公が最初に抱えていた問題も後で出てきた問題も解決しそうだなぁ、って兆しが見えただけで終わる。

そりゃ今後の事なのだから分からないが、これなら大丈夫!という確信に近いものではなく何となく良い方向に進むっぽい、というあやふやな感じで終わりを迎えてしまう。

最も気になるのが主人公の最終決断。主人公の一生のうちで結構重要な決断だと思うのだがなぜそう決めたのかの根拠が不明。田舎暮らしの中で思ったこと、感じた事をもとに主人公は何だか変わった、という記述はあるもののそれがどう影響して最終決断に至ったかがよくわからない。

さらに投げっぱなし。あ、これは伏線に違いないな、ってことが回収されないのは何ともキモチワルイ。サラッと触れられてはいるが打ち切り最終回になった漫画がいくつかの伏線をそのままにして終わるみたいな居心地の悪さがある。〇〇先生の次回作にご期待を!みたいな。

そんな感じで終わりました、というよりは続き物の途中を見ている感が凄い。この後どうなるのかが気になってしょうがない!という前向きさではなく、中途半端な印象を受ける。

そう、何だか漫画的なのだ。描写もしっかりしているのだが何故か漫画的。僕にとっては非常に面白い。何しろ一つ前に読んだ本が「題材:小説的、文章:漫画的」だったのだ。今回読んだこの小説は反対で「題材:漫画的、文章:小説的」に感じる。

主人公が受け身でってのが恋愛漫画っぽいのかも。特に自分から何もしないのだが周りの人が良くしてくれて昔の恋人がいて新しくいい感じの女の子が現れて。何をするわけではないのだが何かあったら真摯に一生懸命対応する。まったくもってよくあるラブコメ的状況ではないか。

しっかりした小説の描写を伴ってこの内容が展開していく。描写がしっかりしているから内容にも期待して読み進め結局拍子抜けしてしまうことになる。何とも不思議な感じだ。本当に雰囲気は良いよ。

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