『あの日の桜吹雪よりも 高野 裕美子』はどうでもよくなった話

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*「晴耕雨読その他いろいろ」2016/4/5投稿記事の修正転載です

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あの日の桜吹雪よりも 高野裕美子

・陰謀っぽい話なのに結構さっぱりしている
・努力家が変な目的を見付けると恐ろしい
今まで夢中になっていたものがどうでも良くなった話

冒頭から女性のファッションの描写があり明るい雰囲気。本の表紙、タイトルもあって基本華やか、でも最後はちょっと悲しい、的な話なのかと思ったが、すぐにドロドロした怨念渦巻く話になる。

しかし内容の割にあまり暗く感じない。おそらく主人公が行動的でサバサバしているからなのだろう。なんでこんなサバサバしている人が何年も前の恨みを忘れないの?って気もする。

しかしまあ実際にもありそうだ。基本物事に頓着しないが、ある一つの事柄にだけは超こだわる。逆に他の事に対する執着心を全て一点にそそいじゃった、みたいな。

この主人公もそれまで積み上げたものをバッサリ切り捨てるかのように目的に向かって舵を切る。いや、それは確かに復讐したいがそっちに行ったら現在の安定を壊すことにならないか?等と僕なら確実に躊躇してしまう。

目的のためなら投資も厭わないこと。行動力のある人って熱しやすく冷めやすい所があって、いざ進み始めたはいいが次に何するんだっけ?とか言って興味が冷め突然失速することが多々ある。

しかし主人公は地道に勉強もしているしちょっとした気遣いも忘れない。是非この情熱と冷静さを良い事に向けて欲しい、と知り合いでもないのに残念に思っちゃったりする。

惜しむらくは大局的でない事。そもそも復讐してその後どうするの?って気がする。もちろんこの話の場合、復讐の達成⇒人生においての大きな幸福、とつながるが、どうなんだろう、何か虚しくないのだろうか。

当初は幸福+復讐の達成感であっても、徐々に後者は薄れていってしまう。最後の行動にしてもあまり先を考えていないのでは。まあお話としてはそれで十分であり、色々と盛り込まれたのに落ち着くところに上手く落ち着いた、という感じだ。

で、この話には夢中になってたけどどうでも良くなった、ってのが出てきて、それが対照的で面白い。一つはそのものの価値に疑問を持って、もう一つはより良いものを見付けて。それはもう桜の花が散るようにあっさりと、今までの情熱はどこへやら、となる。

残念なことに僕にはその経験がないので共感はできない。僕が知っている情熱が冷める瞬間とは徐々にであってこんなに潔くない。しかしそういう事ってあるだろうなぁ、と思う。今後体験するとしたら後者の方が望ましいのだが。

さらに対照的な事に終わっちゃったんだけど一向にどうでも良くならない、ってのも出てくる。これもありそうだなぁ。これらの経験がない僕が読んでもありそうありそう、と楽しめたのだから実際に経験したことのある人ならもっと共感して面白く読めるだろう。

ホント、終わらないんじゃないか、と思った位に色々な問題が出てきた。それぞれの解決がありきたりなので最後は無難にまとめた感がなくはないがそれら全てが解決しているところは見事。

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