『埋葬 横田 創』は現代美術みたいなわかる人にはわかる、って世界

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*「晴耕雨読その他いろいろ」2015/11/27投稿記事の修正転載です

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埋葬 横田創(2015/11/27)

ここまで読みにくくわけのわからない本は久しぶりである。作者は横田創。学生の頃に読んだ奥の細道で曽良がどうした、という本以来15年に一度レベルの読みにくい本。

文章が怖い。人と話していると、ああ、この人まともじゃないな、と思う事があるが、登場人物皆がそんな感じ。登場人物の異常さを表すために大きく役に立っているが、全員そんな感じなので読みにくくてしょうがない。

だれかまともな人がいて一人か二人変な感じ、ならわかりやすく、より際立ったと思うのだが。でもまあそれじゃあありきたりなホラーなので、面白くないのか。

わけがわからないが内容は面白い。少年の言っていることは事実なのか妄想なのか。

事実だとするとあまりにつらいので妄想であって欲しいがどちらにしろつらい。でもって登場人物がこの異常な事態に対して何を感じどう考えたのか、思いを巡らせてしまう。ここら辺が創造力の文学なのかも。

それにしてもあまりにも読みにくい本なのでさぞかし低評価なのだろう、と調べてみたが意外や意外、かなりの高評価である。ていうかべた褒めの部類。しかしどうも評価している人が少ない。読み終えた人が少ないのでは?と邪推してしまう。

確かに紙一重感はあった。読みにくいのだが、ひょっとして凄いのでは?という感じ。例えるなら現代音楽、現代美術みたいなわかる人にはわかる、っていう世界。はぁ?何言ってんのお前これ凄いんだよ!と言われても、ああ、そうなんだーっていうアレ。

でも音楽なら聞いていられる、美術だって見ればよい。きちんと聞いたり見たりは難しくてもとりあえず概要はつかめる。それに対して文章は読まなければならない。この苦行の先に喜びがあるのだ、とわかっているファンや我慢強い人間でなければ概要すらわからない。

そう考えると難解な音楽や美術よりもさらにとっつきにくいのが難解な文学なのかもしれない。しかし苦行の先に何もない事だって多いし、苦行など経なくても済む面白い本はいくらでもあるのだ。

なので苦行の先にあるかも知れない面白さを体験したい人やそもそも苦行大好き、という変な人にはお勧めの本。あ、僕は現代美術は苦手です。

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