*「晴耕雨読その他いろいろ」2015/11/13投稿記事の修正転載です
ミノタウロス 佐藤亜紀(2015/11/13)
今風に言うとマジですごいよこの話、である。前提として僕はロシア文学なんて読んだことない。トルストイ、ドストエフスキーがいて硬く、暗く、重苦しい話でしょ、という偏見を持つ。
作者の佐藤亜紀は日本育ちの現代人だが、僕の偏見ロシア文学っぽさを完全に身にまとっている。その昔「1809」を読もうとして挫折した位だ。
僕の考える面白い要素がまるでないのが凄い。主人公は成長しない、ただ堕ちるのみである。建設的に何かが成し遂げられるわけでもない。破壊のみ。では何か葛藤が?というとそうでもない。葛藤というよりは流されるまま+衝動だ。ここまでぶっ飛んでいると共感だってしにくい。
時代背景の説明が何もないのも凄い。普通だったら、そのころ政治的にこんなことがあって、そのあおりを受け主人公は‥、的な解説がありそうだ。そうだよね、時代の荒波の前に個人はなすすべもないよね、などとしたり顔で感慨にふけりたいところだがその余地がまるでない。
後で考えれば、あの時代は‥等とわかるかも知れないが、その時にはただ翻弄されるだけ、考えてみればそっちの方がリアルだ。
主人公が生きていくためには生贄が必要なんじゃない?と疑いたくなるほど、他人の人生をめちゃくちゃに破壊していく。別に意図してではなく流されたり衝動的にだったり。この時代、というか世の中もそう?
その中にも、特に後半、仲間が出来てからコミカルな感じがある。その部分がとっつきやすいと言えば言えないこともないが、全体的に重く、目が疲れる。そして読み終わった後にはどうしようもない倦怠感。
残念ながら僕には褒める言葉が見つからない。でも凄いよ。疑似体験だろうか。現代日本人では決してできないような、波乱万丈などという言葉が生易しく感じる人生を疑似体験できたことが面白いのだろうか。それだけじゃない。何か僕に理解できない、でも面白い何かがあるのだろう。
↓欲望という点ではこちらもすごい。
↓残り97%の脳を使ってみたい。
↓気楽さってのは憧れだけどヤバい方向に進むのは勘弁。
↓お陰様で今でも深読みしまくってます。
↓蜂蜜パイが気になる。




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