『ベーシーの客 村松友視』はアクの強い店に興味がある人用の話

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*「晴耕雨読その他いろいろ」2015/11/21投稿記事の修正転載です

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ベーシーの客 村松友視(2015/11/21)

この店には僕は行かないし知らずに入ってしまったらすぐに出てくるだろう。何というか客を選び、自分達で閉じ、部外者を拒むような印象を受ける。本当にこんな雰囲気なのかは謎だが、なんとも敷居の高い、面倒くさい姿勢が苦手だ。波長が合えばこの上なく心地よい空間なのだろうが。

僕はジャズに詳しくないし何も知らないと言っていい。でもこの排他的な雰囲気はジャズなの?ジャズの精神に沿っているの?と疑問に思う。しかしこういう独特でアクの強い存在自体は好きだ。別に公共施設ではないのだから客は選んでよい。

知らないで店にふらっと入り一般的な疑問を口にしたら禅問答のような説教を受ける、そんな客にとってはいい迷惑だが、寿司屋でもラーメン屋でもこだわりの口うるさい店主がいる店、というのは話に聞く。

それがただの屁理屈ではなく筋が通っていればよい。共感する人にとっては店の価値+αで素晴らしい場所になるのだろう。もちろん一般人には煙たがられ敬遠されるだろうが、それでも店が成り立つのだったらそれなりの理由があるに違いない。

無個性なチェーン店ばかりではつまらない。なのでこういう独特な存在は好きだ。絶対に行かないが。さて、話自体はこんな面倒くさそうな店に共感を覚えた客の人生いろいろ話である。短編がいくつか並び、それぞれに問題を抱え、それがまあこの店を通して気分的には一区切りつくのだ。

僕の持つジャズの印象は陽気で堅苦しくない、しかしどこか寂しい大人な感じ。何だか矛盾する印象だが歴史がそうさせるのか。あとはチョイ悪で斜に構えた雰囲気。登場人物は決して一様ではないがそんな一筋縄ではいかない印象が共通する。

人生いろいろ話に大きく感動したり何か大きな発見があったりは特にない。身近な人の体験ならびっくりだが小説として話自体が個性的であるわけではない。おそらく話に面白みを追加しているのは舞台となる店なのだろう。なのでジャズが好きなら何か共感できるのかもしれない。

ジャズが好きな人、こんなアクの強い店に興味がある人は読んでみては。

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